2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new therapy for neuromyelitis optica using its animal models and anti-AQP4 antibodies.
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16H05134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阿部 陽一郎 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10317331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高井 良樹 東北大学, 大学病院, 医員 (40725743)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 視神経脊髄炎 / アクアポリン4 / モノクローナル抗体 / 自己免疫疾患 / 動物モデル / 抗体製剤 / アストロサイト |
Outline of Annual Research Achievements |
I. キメラ抗体のNMOモデル動物による治療効果の証明 ゲノム編集技術によるAQP4ヒト化ラットの作製を行うにあたり、ラットAQP4のどのアミノ酸残基をヒトAQP4のそれと置換する必要があるかについて検討した。細胞外ドメインのみの置換であればエクソン1のみをヒト化すれば良いが、幕貫通ドメインまで考慮すると、最大エクソン4までヒト化する必要が生じる。そこで、エクソン1上のみのアミノ酸置換、エクソン1-2に渡るアミノ置換、エクソン1-4に渡るアミノ置換を導入したラットAQP4 cDNA発現コンストラクトを作製し、CHO細胞に発現させ、ヒトAQP4選択的抗AQP4細胞外ドメイン抗体の結合親和性についてELISA法により確認したところ、エクソン1上のアミノ酸置換のみでヒトAQP4と同等の結合親和性が得られた。この情報をもとに大阪大学大学院医学系研究科附属動物実験センターとの共同研究でAQP4ヒト化ラットの作製を開始した。 II. 抗体依存的AQP4の内在化機構の解明とそのNMO病態・治療における位置づけ 本年度は特に抗体刺激に伴うAQP4内在化機構の分子レベルでの解析について検討を行った。内在化・細胞内輸送に必要なAQP4分子内シグナルの同定を行うため、AQP4のC末端ドメイン部分欠損変異体を6種類作製し、CHO、HEK293、HeLa細胞に発現させ、各AQP4変異体の局在及び発現量を蛍光抗体法による染色及びウェスタンブロッティングで調べたところ、C末端側から23残基以上の欠損により発現量の低下が認められた。しかしながら、C末端から53残基の欠損体では発現量の低下は見られなかった。C末端側から32残基欠損したAQP4の発現量はMG132で処理することにより増加したことからユビキチン・プロテアゾーム系による分解を受けている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の当初計画ではAQP4ヒト化マウスの作製も含まれていたが、マウスAQP4のヒト化には抗体結合に直接関与する細胞外ドメインの置換だけでもエクソン1からエクソン4に渡り、ゲノム編集を行う上ではかなり困難を伴う。2回あるいは3回に分けて行うことも考えられるが、予算の範囲では不可能である。一方、申請者らはラットのNMOモデル作製に関しては十分な実績があり、ラットゲノム編集についても大阪大学大学院医学系研究科附属動物実験センターのご協力が得られることになったため、本研究の本来の目的からもマウスモデルを作製することは中止とした。ラットの完成は7月頃の予定となっている。 上述の通り、一部のAQP4の部分欠損変異体はユビキチン・プロテアゾーム系による分解を受ける可能性が考えられ、これに関与する領域がGln271~Asp291の間にあると予想されたため、この配列中にあるリジン残基が実際にユビキチン化に関与するか否かを検証し、更にその部位に変異を導入することでAQP4部分欠損体の発現を安定化させる必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
I. キメラ抗体のNMOモデル動物による治療効果の証明 7月にAQP4ヒト化ラットが完成したところで東北大学の本研究課題分担者と共に以下の3点について主に組織学的手法により検討する。(1) 申請者らの作製したヒトAQP4選択的モノクローナル抗AQP4細胞外ドメイン抗体によりラットでNMO様の病変が作製できるか否か。(2) 実際のNMO患者血清より精製したNMO-IgGを含むIgG画分によりラットでNMO様の病変が作製できるか否か。(3) 上記(1)、(2)が成功した場合、申請者らが作製したNMO-IgGに拮抗するキメラ抗体によりその症状の緩和が認められるか否か。 II. 抗体依存的AQP4の内在化機構の解明とそのNMO病態・治療における位置づけ (1) 一部のAQP4の部分欠損変異体についてはユビキチン・プロテアゾーム系による分解を抑制した後に抗体刺激に伴う細胞内局在の変化を蛍光イメージングにより観察し、AQP4の内在化・ライソゾームへの輸送に必要な配列のある領域を絞り込む。さらにその領域にアミノ酸置換を加えた全長AQP4を作製し、同様の解析を行うことにより抗体刺激に伴うAQP4の内在化・ライソゾームへの輸送に必須な配列を同定する。 (2) げっ歯類AQP4細胞外ドメインに選択的かつAQP4内在化を引き起こすモノクローナル抗体(E5415A)のcDNAをクローニングし、重鎖Fcドメインに存在する補体活性化に必須な配列に変異を導入することで補体活生可能を消失させたリコンビナント抗体を作製する。この抗体(AQP4の内在化を強く誘導するが補体活性化はしない)がラットモデルにおいてNMO様病変を引き起こすか否かを検討するとともに、AQP4の内在化をほとんど誘導しないが補体活性化能を有する抗体(E5415B)でも同様の検討を行い、NMO病態におけるAQP4内在化の意義を検証する。
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