2016 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝共役を担うクラストカイン-Wntシグナルネットワークの解明
Project/Area Number |
16H05144
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
高橋 直之 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 特任教授 (90119222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇田川 信之 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (70245801)
小林 泰浩 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20264252)
中村 浩彰 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (50227930)
南 康博 神戸大学, 医学研究科, 教授 (70229772)
荒 敏昭 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (90387423)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 破骨細胞 / 骨芽細胞 / クラストカイン / スクレロスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
1.骨代謝共役を担うクラストカインの同定と作用機構の解明:破骨細胞が分泌し骨細胞のスクレロスチン分泌を抑制する因子をOPG欠損マウスを用いて調べた。その結果、破骨細胞が分泌するleukemia inhibitory factor (LIF)が骨細胞のスクレロスチン分泌を抑制することを明らかにした。 2.Wnt5aの役割解明:Wnt5aはRor2→Daam2→RhoA→PKN3→Srcシグナル経路を活性化することを明らかにした。このシグナルが病態と関わるか否かを、PKN3欠損マウスにコラーゲン誘発性関節炎を誘導して、骨破壊を評価した。その結果、Pkn3欠損マウスの場合、コラーゲン誘発性関節炎に対する骨破壊は有意に抑制されていることが判明した。すなわち、Ror2→Daam2→RhoA→PKN3→Srcシグナル経路は病態にもかかわることを明らかにした。また、Pkn3とc-Srcの結合に必要なドメインを決定した。 3.W9ペプチドの作用機構の解明:OPG欠損マウスにW9ペプチドを投与し、歯槽骨の状態を解析した。その結果、W9は破骨細胞形成を抑制するとともに骨形成を促進することを見出した。 4.Rykリガンドの決定:骨芽細胞特異的Ryk欠損マウスを解析した結果、Rykシグナルが骨形成に重要な役割を演じていることを明らかにした。 5.骨芽細胞特異的ビタミンD受容体欠損マウスの解析:ビタミンDがを骨芽細胞に作用して骨形成を調節する可能性が示された。クラストカイン産生に対するビタミンDの作用を明らかにするため、骨芽細胞特異的VDR欠損マウスを作製した。ビタミンDは骨芽細胞のVDRを介して骨規制を促進することを突き止めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
破骨細胞が分泌し骨細胞のスクレロスチン分泌を抑制するクラストカインの同定に成功した。破骨細胞が分泌するleukemia inhibitory factor (LIF)が骨細胞のスクレロスチン分泌を抑制することを明らかにした。また、Wnt5aはRor2→Daam2→RhoA→PKN3→Srcを介するシグナル経路が破骨細胞の機能発言に重要であることを、病態モデルを用いて実証した。一方、活性型ビタミンDも骨芽細胞を介して破骨細胞のクラストカイン産生を調節していることを見出した。一方、Rykリガンドの同定はできなかった。また、クラストカインLIFの分泌機構の解明もできなかった。これらの課題をH29年度に行う。
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Strategy for Future Research Activity |
1.骨代謝共役を担うクラストカインの同定と作用機構の解明:1)スクレロスチン抑制因子としてLIFを同定した。破骨細胞特異的LIF欠損マウスを作製し、骨組織を解析する。 2.Wnt5aの役割解明:Wnt5aはRor2→Daam2→RhoA→PKN3→Srcシグナル経路を活性化することを明らかにした。そこで、破骨細胞特異的PKN3欠損マウスを作製し、骨組織をさらに解析する。Ror2→Daam2→RhoA→PKN3→Srcシグナル経路は関節炎モデルでの骨破壊に関わることを明らかにした。そこで、破骨細胞特異的PKN3欠損マウスを用いて骨粗鬆症にも関わるか、卵巣摘出モデルを作製して、骨組織を解析する。 3.W9ペプチドの作用機構の解明:OPG欠損マウスを用いて、W9は破骨細胞形成を抑制するとともに骨形成を促進することを見出した。破骨細胞が分泌するW9用ペプチド因子の役割を解明する。 4.Rykリガンドの決定:骨芽細胞特異的Ryk欠損マウスを解析した結果、Rykシグナルが骨形成に重要な役割を演じていることが明らかとなった。Rykを破骨細胞と骨芽細胞のcDNAライブラリーよりRykにか都合するリガンドを同定する。 5.クラストカイン分泌機構の解明:破骨細胞はWnt5a、LIFを分泌することを明らかにした。また、Siglec-15抗体で処理した破骨細胞前駆細胞は骨芽細胞を活性化する因子を分泌することを突き止めた。これらの因子の分泌動態を分泌小胞(エキソソーム)性分泌機構、エキソサイトーシス分泌機構の面より解析する。
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Research Products
(6 results)