2017 Fiscal Year Annual Research Report
加齢に伴うmicroRNAの機能低下と発癌ポテンシャル増大の分子機構の解明と制御
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16H05149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 基之 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90518945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
前田 愼 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (40415956)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで、慢性炎症続発性腫瘍(炎症性発癌)は「炎症性ストレスによる慢性的な『miRNA機能阻害』が原因の一端である」ことを明らかにし、miRNA機能を増強する薬剤によって炎症性発癌の予防が可能になることを示してきた。この研究の過程で、高齢マウスではmicroRNA機能が加齢に伴って減弱していることを観察したことから、加齢によって何らかの理由でmicroRNA機能が低下する可能性と、加齢に伴う表現型はmicroRNA機能の低下によって惹起されているものもあるのではないか、という仮説を立てた。すなわち、加齢に伴うmicroRNA機能が変化する原因となる分子機構およびmicroRNA機能低下に伴う細胞内外の分子シグナル変化と加齢の表現型(特に発癌ポテンシャル上昇)との関連を明らかにし、それを制御する方法を探索することは 極めて重要と考えられる。 今年度は、正常ヒト線維芽細胞を用いて、その早期継代時と継代を重ねて細胞老化を惹起した時を比較し、既報のごとく 炎症性サイトカインが細胞老化で産生されることを示した。 その機序を検討したところ、STATの核内移行が通常ではリン酸化によって惹起されるところが、老化細胞においてはリン酸化が無いにも関わらず核内移行していることが示された。この現象はWerner症候群の人から単離したヒト線維芽細胞でも早期から見られており、老化における普遍的な現象であることが推察された。現在 これらの結果は論文投稿し改訂中であるが、実質細胞の癌化の観点からの細胞同士の相互作用について検討を加えていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト正常細胞を用いた細胞老化に伴う分子生物学的現象を明らかにして論文投稿し改訂中である。今後の実質細胞での変化を検討する基盤が確立された。
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Strategy for Future Research Activity |
非実質細胞の細胞老化に伴う炎症性サイトカインの産生機序を明らかにしたところから、近隣の実質細胞への影響を検討し、癌化の観点から介入法を開発することをめざす。特に exososme 内のRNA構成成分について検討する。
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Research Products
(4 results)