2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規二元的ミトコンドリア制御系によるサルコペニアの病態研究
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16H05157
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中島 利博 東京医科大学, 医学部, 教授 (90260752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木下 尚子 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (40367389)
荒谷 聡子 東京医科大学, 医学部, 講師 (40387064)
藤田 英俊 東京医科大学, 医学部, 講師 (90571802)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | サルコペニア / 遺伝子改変動物 / タンパク質分解 / シノビオリン / ユビキチン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近、ミトコンドリアによる炎症やアポトーシスの制御など新しい機能が明らかになり、ミトコンドリア病だけでなく老化、肥満・糖尿病、慢性炎症、サルコペニアなど現代社会が直面する多様な難治性病態の発症と進展に深くかかわっている。ミトコンドリアの biogenesis と機能制御に関しては PPAR、NRF2、ER などの個々の転写因子とそれらに対する転写統合装置 (PGC family) による転写レベルでの調整が重要である。応募者はリウマチ滑膜細胞より E3 ユビキチン化酵素シノビオリンを発見・命名し、関節炎に深くかかわることを証明した (G&D 2003)。また最近、同分子がミトコンドリア関連転写統合装置 PGC-1β を介し肥満などメタボリック症候群 (EMBO J 2015) の制御とミトコンドリア関連転写因子 NRF2 (G&D 2014) に関与する。すなわち、新規二元的エネルギー代謝シグナルの存在を見出した。本研究では脂肪、肝臓とともに代表的エネルギー代謝器官である骨格筋におけるシノビオリンの役割に着目している。するとともに、平成29年度には、樹立した筋肉特異的なシノビオリンノックアウトマウスについて、体重の変化、筋肉重量の変化を観察するとともに、組織学的・病理学的な解析を行った。今後、さらに詳細に、シノビオリンの骨格筋における役割を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シノビオリンノックアウトマウスを解析した結果、ノックアウトマウスで体重が減少し、筋重量が変化することが明らかとなっている。ノックアウトマウスも順調に生産することができており、現在、詳細な組織学的・病理学的な解析を行なっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.筋特異的 KO マウスの解析を行う。病理学的解析として、HE 染色、Gomori-trichrome 染色などの通常の組織化学的染色とともに、シノビオリン、PGC-1β、NRF2 に加え、サルコペニア関連分子 (collagen VI, GDF11, Irisin, Beclin 1, FNDC5, mTOR, IGF-1, PI3K, atrogin-1, LC3, PDGF receptor α, Pax7, MyoD, myogeninなど) の免疫組織化学的染色を行う。さらに、電子顕微鏡による解析を行い、ミトコンドリア数をカウントする。ミトコンドリア機能解析として、骨格筋組織は重量を測定後、OROBOROS Oxygraph にてミトコンドリアの呼吸能を測定する。また、関連因子の発現量の解析を、リアルタイム PCR 法によりミトコンドリア合成、エネルギー代謝、ならびに atrogin-1 や myostatin などの筋萎縮に関与する遺伝子の mRNA レベルでの発現量定量を行う。 2.阻害剤の検討を行う。当研究室では約 40 種類のシノビオリン阻害剤を有している。これらの化合物の中で 2 種類について PGC-1β とシノビオリンの相互作用を阻害し抗肥満薬として効果を有していることを報告している。本研究で骨格筋でのシノビオリンの二元的シグナル経路の各寄与度が明らかになる。したがって、40種類の化合物を、in vitro 結合阻害実験、in vitro ユビキチン化阻害実験、細胞内での結合阻害実験、細胞内でのユビキチン化阻害実験にて再評価し、より選択的な候補化合物を決定する。
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Research Products
(17 results)