2016 Fiscal Year Annual Research Report
Signaling in malaria parasites during erythrocyte invasion
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16H05184
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢幡 一英 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40467965)
麻田 正仁 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40587028)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原虫 / マラリア / 細胞侵入 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
マラリア原虫の赤血球侵入は宿主体内では必須のステップである。赤血球から放出された原虫は、細胞内小器官から種々の分子を秩序だって放出しながら新たな赤血球表面に接着し、方向転換、密着接合形成、寄生胞形成、赤血球内への移動といった一連の赤血球侵入過程を進める。ところが、細胞内小器官からの分子放出に関するシグナル伝達経路はほとんどわかっていない。本研究では、赤血球侵入期に発現する原虫分子をノックダウン/アウトした組換えネズミマラリア原虫Plasmodium yoeliiを網羅的に作製し、細胞内小器官からの分子放出やCa2+濃度の変化等を指標に、各細胞内小器官の放出調節機序のシグナル伝達経路を明らかにすることを目的とした。 本年度は、赤血球網羅的転写解析により熱帯熱マラリア原虫の赤血球侵入期に発現し、遺伝子座破壊ができないことが報告されているか、遺伝子座破壊の試みの報告がないリン酸化酵素30を選出して解析を進めた。CRISPR/Cas9ゲノム編集法によりP. yoeliiにおけるこれらのリン酸化酵素の必須性の検討を開始し、6つについてP. yoeliiにおいて遺伝子座破壊ができないことを示唆する結果を得た。一方、熱帯熱マラリア原虫で必須であるリン酸化酵素の一つを対象に、我々がこれまでに構築し、必須ではない遺伝子座では成功しているTet-On-Cre/loxP系を用いて遺伝子座ノックアウト原虫の作製を試みたが、新たに対象とした必須と考えられる遺伝子座については、想定した形で遺伝子座が改変された組換え体を得られなかった。そのため、ゲノム編集法を組み合わせた新たな遺伝子導入法のデザインを行った。さらに、原虫増殖に必須の赤血球認識リガンドについてノックダウン原虫の作製に成功し、赤血球侵入中の表現型解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
必須性が不明な標的を含むため、CRISPR/Cas9による必須性の検証を開始した。これにより標的を絞りこむことができ、全体的な解析時間は短縮されると考えた。さらに、必須分子のノックダウン原虫の作製にも成功し、先行して表現型解析を進められたため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に選出したP. yoeliiリン酸化酵素30の必須性の検証を行い、必須であることが示唆された分子について、遺伝子座ノックアウト/ノックダウン原虫の作製を行う。増殖率の検討と増殖に関与する分子の同定を行い、増殖率に影響を与える分子について、赤血球からの放出から赤血球侵入の間で各分子が関与するステップを決定する。また細胞内小器官からの分子放出に関与するのか検討を行う。赤血球侵入期に転写が活性化されている一群の脱リン酸化酵素について、検討を開始する。
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