2016 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of interactions between paramyxoviral infection and host innate immunity
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16H05197
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
入江 崇 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (70419498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 康祐 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (60571255)
坂口 剛正 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (70196070)
本田 知之 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (80402676)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ウイルス / 免疫学 / 感染症 |
Outline of Annual Research Achievements |
宿主の自然免疫は、感染早期の病原微生物の排除に極めて重要な役割を果たしている。近年、宿主自然免疫と病原微生物の間で繰り広げられる攻防について、様々な事が明らかにされているが、個々の事象を超えたより統合的な理解には未だ至っておらず、大きな矛盾をはらんだまま理解されているものも多い。本研究では、自然免疫を誘導するウイルス因子や自然免疫に抵抗する様々なメカニズムが報告されている一本鎖マイナス鎖 RNA ウイルスのプロトタイプの一つで、齧歯類の呼吸器病ウイルスであるセンダイウイルスをモデルに、我々の最新の知見を加えた in vitro 及び in vivo の解析から、ウイルス感染認識とその回避、病原性発現との関係 について、統合的理解の構築を目指している。 初年度は特にin vitroでのウイルス蛋白質と宿主因子の相互作用解析、機能解析を中心に行った。センダイウイルスC蛋白質及びV蛋白質について、アラニンスキャニングを行い、これまでに我々確認しているものも含め、既知の宿主因子との相互作用を網羅的に検索し、各因子との相互作用を喪失するアラニン置換部位のマッピングに成功した。また、上記の一連のアラニン置換変異体を用いたin vitroでの機能解析(ウイルス出芽アッセイ、I型IFN系のレポーターアッセイ、ウイルスRNA合成阻害アッセイなど)を行い、機能マップを作成し、上記相互作用と各機能の相関を明らかにすることに成功した。またC蛋白質がI型応答経路を阻害する詳細なメカニズムを明らかにするとともに、強力なRIG-Iリガンドとなり自然免疫を活性化するウイルス因子を明らかにすることに成功し、世界で初めてこれを恒常的に産生するウイルスクローンの単離及びその責任変異の同定に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相互作用解析は順調に進んだが、機能解析の段階で、一部で新たに評価系の構築が必要になったものがあり、最終的に解決できたものの、進捗に遅れが生じた。一方で、当初の予定以上に、センダイウイルスC蛋白質によるI型IFN応答経路の抑制メカニズムの解明や、ウイルス感染時に産生されるRIG-Iリガンドの同定、これを恒常的に産生するウイルスクローンの単離、責任変異の同定など、想定していなかった成果を上げることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、上記のアラニンスキャニングの成果のウイルスレベルでの検証を行う。センダイウイルスC及びV蛋白質は、P遺伝子上にコードされているため、他の蛋白質に変化を与えることなく、任意の変異を導入することがほとんど不可能である。そこで、C及びV蛋白質を、P遺伝子からではなく単独遺伝子としてコード、発現する組換えウイルス系を構築し、これをベースに一連のアラニン変異を導入したウイルスを作製してウイルスレベルでの機能解析を行う。 また、特にウイルス複製に必要なウイルス蛋白質と宿主因子との相互作用について、網羅的プロテインアレイ解析や精製ウイルス粒子及び精製ヌクレオカプシドの質量分析によって、新規因子の同定を行う。
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Research Products
(14 results)