2016 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ節における自然-獲得免疫機能連携の時空間制御と組織基盤
Project/Area Number |
16H05204
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
片貝 智哉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00324682)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リンパ節 / 自然免疫 / 獲得免疫 / 生体イメージング / ストローマ細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫応答の誘導過程において、自然免疫と獲得免疫の時空間的な連携は極めて重要であるといえるが、未だ不明な点が多い。本研究では、マウスのリンパ節で見出された自然免疫および獲得免疫細胞が混在する髄質・皮質以降領域(MCT)領域とそれを支える新規ストローマ細胞サブセットに注目し、組織の三次元的空間構造・細胞構成・分子発現を理解するとともに、細胞動態・動的相互作用を直接観察、これまで注目されていなかった髄質を経由する早期獲得免疫活性化の機序やこの場で起こる自然ー獲得免疫の機能連携の実証・解明を進める。そして、免疫関連疾患および癌リンパ節転移におけるこの過程の重要性と変容を検証し、時空間的に適切に制御された自然免疫ー獲得免疫連動の意義を明らかにすることを目的としている。 初年度は、リンパ節髄質およびMCT領域に関して、共焦点レーザー顕微鏡と二光子励起レーザー顕微鏡を用いた蛍光免疫組織化学法による観察を進め、その三次元微細構造や細胞構成・機能分子の空間配置に関する詳細な情報が得られた。特に、髄質・MCT領域にはそれぞれ、他の部位と異なる特徴的なストローマ細胞サブセットがネットワークを形成し、独特な免疫細胞集団の局在を支持していることが明確になった。したがって、我々の見解ではリンパ節には性質の異なるストローマ細胞サブセットが少なくとも6種類存在することになる。また、生体イメージングを用いた動態観察により、これらの領域に局在しているB細胞が、濾胞などの主要なB細胞領域とは異なる挙動を示すことが明らかになり、自然免疫細胞やストローマ細胞との密接な相互作用が局所的に異なる機能性状を与えていると考えられる。このことは、リンパ節の髄質・MCT領域が免疫応答の過程でこれまでに知られていないユニークな働きを担っている可能性を示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ節髄質・MCT領域の詳細な組織三次元微細構造や細胞構成・機能分子の空間配置、特にストローマ細胞サブセットに関する基礎知見が得られ、その理解が格段に進んだ。また、この領域における独特なリンパ球動態が明らかになり、免疫応答における意義が注目される。したがって、全体として研究計画は予定どおりに進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ストローマ細胞サブセット間の性質の違いに関する詳細な解析に取り掛かり、これらのストローマ細胞を標的とした遺伝子改変マウス系統の樹立を試みる。 さらに、免疫応答時の髄質・MCT領域における各免疫細胞の移動、相互作用の可視化を進める。 また、癌リンパ節転移に関するモデル実験系の構築を行う。
|