2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of drugs for cerebral amyloidosis with novel mechanisms of action using DDS technology
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16H05223
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
有馬 英俊 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (50260964)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本山 敬一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 准教授 (50515608)
東 大志 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (20613409)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳アミロイドーシス / シクロデキストリン / デンドリマー / 結合体 / 脳移行性 / 血液脳関門 / 鼻脳移行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コレステロール低下作用およびアミロイド繊維形成抑制能を有するシクロデキストリン (CyD)/デンドリマー(CDE)結合体に脳移行性リガンドを付与した新規脳移行性 CDE 結合体(BT-CDEs)を構築し、新規アルツハイマー病(AD)治療薬としての可能性を明らかにすることである。平成28年度の研究実績を次に示す。(1)各種 BT-CDEs の合成の前段階として、BBB 透過リガンドであるインスリンと CyD との結合体(Ins-CyD)を調製し、その構造を MALDI-TOF MS により確認した結果、CyD がインスリン分子に 1 個または 2 個 結合した Ins-CyD 結合体であることを明らかにした。 (2)Ins-CyD の BBB 透過性を検討するためには、本結合体が重篤な低血糖を示さないことが重要である。そこで、マウスに静脈内投与後の血糖値を測定した。その結果、投与後 2 時間において、わずかに血糖降下作用を示したものの、その効果は一過性であったことから、Ins-CyD は、重篤な低血糖を誘起しないことが示された。 (3)Cy5 ラベル化 CyD(Cy5-CyD)または Ins-CyD(Cy5-Ins-CyD)をマウスに静脈内投与後の各種臓器分布を IVIS にて測定した結果、Cy5-CyD は脳移行性を示さなかったのに対して、Cy5-Ins-CyD は、濃度依存的に脳移行性を示した。これらの結果から、Cy5-Ins-CyD は、静脈内投与後、脳へ移行することが示唆された。 (4)Ins-CyD をマウス尾静脈内に投与後の安全性を血液生化学検査値を指標に検討した結果、各種血液生化学検査値は、コントロールと比較して顕著な変化は認められなかった。これらの結果より、Ins-CyD 結合体は、安全性に優れる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請書には平成 28 年度、シクロデキストリン/デンドリマー結合体に各種脳移行性リガンドを結合した各種脳移行性結合体(BT-CDEs)を構築し、それらの化学的・物理的性質、in vitro BBB 透過性、コレステロール漏出および Aβ 凝集抑制効果を、N2a 細胞およびSwN2a 細胞を用いて比較検討する予定と記載してあったが、実際には BT-CDEs の前段階である BBB 透過性リガンドであるインスリンと CyD との結合体(Ins-CyD)を調製し、その構造、in vivo 血糖降下作用、in vivo 脳移行性、in vivo安全性に関する検討を行った。そのため、化合物の進捗状況は遅れているものの、前段階の化合物ではあるものの、マウスに静脈内投与後の脳移行性および副作用について検討できたことは今後の研究の進捗を進めることに繋がる。これらのことを総合的に考慮して、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度:BBB 透過リガンドとして、グルコース、ラクトフェリンおよび BBB 透過ペプチドならびに膜透性ペプチドを CDE 結合体に結合した各種 BT-CDEs を新規に調製する。次にそれら結合体の化学的・物理的検討、脂質ラフト構造変化、Aβ ペプチド凝集抑制効果および培養細胞での有効性および安全性評価、さらに、健常マウスに BT-CDEs を静脈内および鼻腔内投与後の脳移行性、各種臓器移行性、安全性などについて評価する。
平成30年度は、前年の検討により選ばれた数種のBT-CDEs を用いて、AD モデルマウスに BT-CDEs を静脈内および鼻腔内投与後の脳内 Aβ ペプチドをはじめとする AD 関連分子の遺伝子発現や記憶に関する行動学的な検討を行うととに、安全性に関する検討も行う。
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