2016 Fiscal Year Annual Research Report
小児における無機ひ素毒性のセレンによる修飾:テロメア長を用いた検討
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16H05254
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡辺 知保 国立研究開発法人国立環境研究所, その他部局等, 理事長 (70220902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
吉永 淳 東洋大学, 生命科学部, 教授 (70222396)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ひ素 / カドミウム / 鉛 / 臍帯血 / 周産期曝露 / テロメア / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
*調査に関する倫理審査を日本ならびにミャンマで申請し,それぞれ承認を得た。ミャンマについては,カウンターパートとの調整を行ったのち,7月からひ素汚染の報告されている南部エヤワディ地方の2つの市域(township)を対象として予備調査を実施し,現地の複数の病院を訪問すると同時に,汚染地域の農村部集落を視察し,状況の確認と調査実施の合意を得た。 予備調査の結果を受けて,本調査を実施した。すなわち,地域の病院を妊婦検診に訪れ,参加に同意した妊娠後期にある400名を対象として,聞き取り調査によって,社会経済的状況,出生歴などの情報を得た(7-9月)。同じ対象者グループから,出産時に尿・臍帯血試料を提供してもらい冷凍保存して分析に供した(11-12月)。 *バングラデシュについては治安情勢の悪化により,対象地域をひ素による地下水汚染が報告されたインドネシア・パレンバン地域に変更して現地を訪問した。ここで,ひ素による汚染を論文として発表した研究者とも会い,同地における調査可能性について議論を行った。 *カドミウム曝露とテロメアとの関連を調べるために、尿中カドミウム濃度を曝露のバイオマーカーとして利用するにあたり、尿中カドミウム濃度をICP質量分析法によって精確に定量するための検討を行った。尿中に共存するモリブデンの酸化物からのスペクトル干渉を数学的に補正する方法で、簡便にかつ精確な定量値を得ることができ、疫学研究への適用可能な方法として確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では当初,バングラデシュにおいても調査を予定していたが,平成28年7月に首都ダッカでテロが起こったことを受け,当初の予定を変更した。
ミャンマ調査ならびに試料の化学分析の測定条件検討などは順調に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
*ミャンマ調査で得られたデータ分析および試料の金属濃度,テロメア長の測定を実施し,周産期における金属類への曝露と,出生アウトカムならびにテロメア長との関連について知見を得る。 *上記はそれぞれ既に確立された方法を用いるが,実際の試料の特性に合わせた最適化が一部必要となるので,その検討も行う。 *バングラデシュについては,現地の治安情勢に注意し,現地カウンターパートとも連絡をとりつつ本来の調査実施の適否を見定める。今年度は代替地としてインドネシアの汚染地域において視察を行った。
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