2017 Fiscal Year Annual Research Report
小児における無機ひ素毒性のセレンによる修飾:テロメア長を用いた検討
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16H05254
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
渡辺 知保 国立研究開発法人国立環境研究所, その他部局等, 理事長 (70220902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
吉永 淳 東洋大学, 生命科学部, 教授 (70222396)
小西 祥子 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (70451771)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ひ素 / セレン / カドミウム / テロメア / 低体重出生 / 東南アジア / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
*ミャンマー調査においては,収集した試料(水・尿・臍帯血)の金属濃度,テロメア長,酸化ストレス(8OHdG)の定量分析を進め,金属濃度分析についてはこれを終了した. ・母親(419名)の聞き取り調査に関しては,金属(特にひ素)曝露と出生アウトカムとの関連について解析を行った.その結果,対象地域では在胎週数,初産とともにカドミウム曝露が低濃度にもかかわらず低体重出生のリスク因子であることを見出したが,ひ素ならびにセレンについては有意な寄与を認めなかった.以上の結果は国際学会ならびに国際誌論文として発表した. ・テロメア長に影響する因子についての基礎的情報を得る目的で,日本人女子大学生(平均20歳)73名から採取した全血からDNAを抽出し,テロメア長をリアルタイムPCR法によって測定した.測定結果をシングルコピー遺伝子長との比として表すと,平均と標準偏差は1.34±0.45で,正規分布していた.対象者の生物学的属性や生活習慣、食生活とテロメア長の間の二変量の解析を行った結果,根菜類(人参、大根等)の摂取頻度との間に有意な正の関連が見いだされた他は有意な関連はなかった. *バングラの情勢が不安定であるため,代替の調査・分析を実施した.すなわち,(1)ひ素の局所的な汚染が報告されたインドネシア国パレンバン,ムシ川中流域において人と作物(米だけではなく畑の産物も)の予備調査を実施した.(2)同じ南アジアのひ素汚染地域において収集した生体試料(尿)について金属曝露の測定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミャンマにおける調査が順調に進み,低濃度のカドミウム汚染と出生アウトカムとの関連を見いだし,学術誌に発表することができた.
バングラデシュの政情は,ひ素汚染地域で調査ができるまでには回復していないと判断して調査を実施しなかったが,他のひ素汚染地域における調査ならびに汚染地域で得た試料の解析を実施することができたため,当初の目的に相当するデータを得られる見込みができた.
課題代表者が年度始めに異動したが,分担研究者と連絡を密に行うことにより,進捗が著しく滞るような状況は避けられた.
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Strategy for Future Research Activity |
ミャンマについては引き続き収集した生体試料を解析し,論文を追加する.可能な限り現地を再訪し結果フィードバックとともにフォローアップ調査を実施する予定である.
日本人女性を対象として採取した尿試料について尿中Cd As Se等微量元素濃度の測定をICP-MSを用いて行った上で,昨年度同対象者から採取した全血から抽出したDNAのテロメア長との関連を検討する.
インドネシアにおいては,低地の汽水域でも水利用と人の調査を実施する.金属濃度分析を行った試料についてもテロメア分析が可能であることが確認されたため,これについても金属曝露とテロメア長との関連を検討する.
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Research Products
(5 results)