2016 Fiscal Year Annual Research Report
Systematic analyses on the pathogenesis of neuro-psychoactive substances using zebrafish
Project/Area Number |
16H05274
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
吉田 謙一 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (40166947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花尻 瑠理 (木倉瑠理) 国立医薬品食品衛生研究所, 生薬部, 室長 (10224916)
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 講師 (40743331)
林 由起子 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (50238135)
前田 秀将 東京医科大学, 医学部, 講師 (60407963)
原 修一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (70208651)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 横紋筋融解症 / 動物モデル / セロトニン / 危険ドラッグ / 行動異常 / カンナビノイド系薬物 / 突然死 |
Outline of Annual Research Achievements |
Zebrafish (Zf) 幼魚は、ヒトとの遺伝的類似性、透明性(生体における臓器形態の観察)、低コスト、単位時間当たり情報処理可能性、低コスト、短寿命、高生殖率等の利点を利用して、中毒研究に導入され始めている。私達は、新しいデザイナードラッグである25B-NBOMeによる致死的横紋筋融解症事例の解剖を経験した。 Zf幼魚に25B-NBOMeを作用させると、骨格筋の複屈折低下、筋膜beta-dystroglycan、筋原線維myosinの免疫染色性低下を惹起し、横紋筋融解症を反映していると考えられた。4種類のserotonin (5-HT)受容体拮抗剤の効果より、5-HT2A 受容体が横紋筋融解に寄与していることが確認された。 横紋筋融解症は、従来、ラットに複数のserotonin作動薬を投与し、体温上昇や筋酵素血中逸脱を指標に研究されてきたが、形態異常を指標とした研究はなかった。Zfの25B-NBOMe処理による横紋筋融解症モデルは、簡単に再現性よく横紋筋融解症を作成できる極めて優れた疾患動物モデルである。 近時、頻発しているMDMB-CHMICAによる突然死の機序は未解明である。ラットにMDMB-CHMICAを投与すると、すぐに徐脈を惹起し、続けて血圧上昇を認めた。また、重力に対して受動的体位を維持する”カタレプシー“に続き、把持により”のたうち運動“が惹起された。これらの行動異常は、cannabinoid系薬物使用者に多い危険運転の原因である可能性が推定される。これらの現象をZfで再現し、突然死と行動異常の分子機構の解明を目指したい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25B-NBOMeによるゼブラフィッシュ横紋筋融解症モデルは、私達が経験した解剖例に基づく動物モデルである(Forensic Toxicol. 33: 336-401, 2015)。 25B-NBOMeによるゼブラフィッシュ横紋筋融解症モデルは、生体のまま簡単に形態異常を再現性よく惹起できる。従来のモデルにはない利点を要する極めて有用な動物モデルである。その研究成果は、既に、Forensic toxicologyに受理されていて、横紋筋融解症の病態・分子機構の解明に大きく貢献することが期待されている。 カンナビノイド系薬物であるMDMB-CHMICA投与ラットの心血管系変化と行動異常に関する論文も、投稿中である、いっぽう、ゼブラフィッシュの多数同時行動観察できる実験系を用いたMDMB-CHMICAによる病態・分子機構の解明に着手している。 これら2つの薬物に限らず、確立しつつある実験系を用いて、多くの薬物による病態の再現と分子機構の解明が進むことが期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ゼブラフィッシュを用いた25B-NBOMe誘発横紋筋融解症モデルを用いて、種々のカルシウムチャネル、カルシウム依存性プロテアーゼ(カルパイン)の寄与を解明する。また、成魚の骨格筋に注射することで、25B-NBOMeが骨格筋のセロトニン5-HT2A受容体に直接作用しているか、中枢に作用しているかを明らかにする。従来、横紋筋融解症を惹起することが知られているMDMA,その他の薬物について、横紋筋融解症を惹起するか?その機序は?について、検討する。 カンナビノイド系薬物MDMB-CHMICAによるゼブラフィッシュの行動異常を再現し、多数同時行動観察し、記録できる実験系を確立し、これを用いて病態・分子機構の解明ができるようにしつつある。実験系を確立できれば、多くのカンナビノイド系危険薬物による行動異常を比較・分析し、薬理学的な手法により、関与するセロトニン系、その他の神経系伝達物質の標的や経路を明らかにしたい。
|