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2016 Fiscal Year Annual Research Report

伝統医薬品をターゲットとした安全性および有効性に優れた抗認知症薬開発の新規戦略

Research Project

Project/Area Number 16H05275
Research InstitutionUniversity of Toyama

Principal Investigator

福地 守  富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 助教 (40432108)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
KeywordsBDNF / スクリーニング / 生薬
Outline of Annual Research Achievements

(1)BDNF遺伝子発現誘導活性を有する伝統医薬品の探索
BDNF遺伝子発現の誘導を発光により検出可能なBDNF-Lucマウスより調製した大脳皮質神経細胞初代培養系を用いて、BDNF遺伝子発現誘導活性を有する伝統医薬品の探索を行った。本年度は、富山大学和漢医薬学総合研究所が所有する生薬エキス、生薬由来化合物、漢方方剤エキス各種ライブライリーを用いて解析を行った。その結果、120種類の生薬エキスのうち12種類、96種類の生薬由来化合物のうち5種類、48種類の漢方方剤エキスのうち2種類にそれぞれBDNF遺伝子発現誘導活性が認められた。これらエキスや化合物は、BDNF発現量を増加させることにより脳の機能性を改善する可能性が考えられた。実際に、今回BDNF遺伝子発現誘導活性が認められた生薬由来化合物の1つは、海馬におけるBDNF発現量を増加させ、また抗うつ様効果を有することが最近報告されている。
(2)BDNF遺伝子発現誘導活性を有する生薬エキスがマウスの脳機能に与える影響
本年度は、生薬エキスに着目し、特に人参、山椒、釣藤鈎エキスがマウスの脳機能に与える影響を検討した。7週齢のC57BL/6Nマウスに各種エキスを2週間経口投与(200 mg/kg/day)後、文脈性恐怖条件付け試験によりマウスの記憶学習能を評価した結果、わずかではあるが山椒および釣藤鈎エキス投与群では記憶学習能が亢進する傾向が得られた。山椒は、漢方方剤の構成成分として医薬品区分で用いられるだけでなく、香辛料など食区分としても利用されるため、将来的には脳機能の改善や脳機能低下の予防を視野に入れた健康食品開発にも発展することが期待される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

120種類の生薬エキスライブラリーを用いたスクリーニングの結果、1割の生薬にBDNF遺伝子発現誘導活性が認められた。その一方、生薬由来化合物ライブラリーを用いたスクリーニングの結果では、活性が認められた化合物は5種類であり、そのうち3種類は神経興奮を引き起こすトリカブトの成分であり、また、BDNF遺伝子発現誘導活性を有する生薬中の成分のほとんどは活性を持たなかった。したがって、BDNF遺伝子発現を誘導する生薬エキス中の活性成分は、単一ではなく複合的な作用であること、または未知の成分である可能性が考えられた。これは当初予想していなかった結果であり、今後の研究の遂行により大きく発展することが期待される。
また、マウスを用いた記憶学習能の評価では、山椒と釣藤鈎エキスにごくわずかではあるものの記憶学習能を亢進させる作用がある可能性が考えられた。今回使用したマウスは通常のマウスであるため、これら生薬エキスは通常の脳機能をわずかに改善することが期待され、これは当初予想していなかった結果である。
以上より、本年度の課題の進捗状況は「当初の計画以上に進展している」とした。

Strategy for Future Research Activity

今後の推進方策は以下の通りである。
(1)BDNF遺伝子発現誘導活性を有する伝統医薬品の探索
今後は、医薬品区分生薬だけでなく、食区分生薬や食用植物などのエキスにも着目した解析を進めるとともに、メカニズム解明のためにBDNF遺伝子発現を誘導する生薬中の活性成分の本体を同定する必要がある。また、ドラッグリポジショニングを目的として漢方方剤に着目した解析、健康食品開発を目指した生薬のブレンド効果なども進める予定である。
(2)BDNF遺伝子発現誘導活性を有する伝統医薬品の薬効評価
今後は、単に記憶学習能を評価するだけではなく、抗認知症活性を評価する必要がある。例えば、抗コリン薬であるスコポラミンを用いた記憶学習障害モデル、老齢マウス、老化促進マウス、アルツハイマー病モデルマウスなどを用いて、低下した記憶学習能に対して活性を有する伝統医薬品がどのような薬効を発揮するのか、検討していくことが重要である。さらには、その薬効の作用機序にBDNF発現量の増加が含まれるのかについても併せて検討する必要がある。

  • Research Products

    (3 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Convergence of neurotransmissions at synapse on IEG regulation in nucleus.2017

    • Author(s)
      Mamoru Fukuchi, Masaaki Tsuda
    • Journal Title

      Frontiers in Bioscience

      Volume: 22 Pages: 1052-1072

    • DOI

      10.2741/4533

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] 神経可塑性の分子基盤を担う遺伝子発現制御系の解明2016

    • Author(s)
      福地守
    • Organizer
      日本薬学会北陸支部第128回例会
    • Place of Presentation
      金沢
    • Year and Date
      2016-11-27 – 2016-11-27
    • Invited
  • [Presentation] BDNF-Lucマウスを利用したBDNF遺伝子発現変化の可視化およびBDNF遺伝子発現誘導剤の探索2016

    • Author(s)
      福地守、前畑陽祐、森寿、牧昌次郎、田渕明子、津田正明
    • Organizer
      第38回日本生物学的精神医学会 59回日本神経化学会大会 合同大会
    • Place of Presentation
      福岡
    • Year and Date
      2016-09-08 – 2016-09-10

URL: 

Published: 2018-01-16  

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