2016 Fiscal Year Annual Research Report
高齢癌術後予後増悪因子であるフレイルへの術前介入の有用性と機序に関する包括的研究
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16H05277
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
樂木 宏実 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20252679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 研 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (20437403)
山崎 誠 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (50444518)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | フレイル / 高齢癌患者 / サルコペニア / マイオカイン / 身体トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床研究は、当初予定は研究A)、B)の2つの研究を予定していたが、当科と消化器外科との話合いと本学倫理審査委員会からの指摘により、研究A)高齢癌患者への術前身体トレーニング+アミノ酸介入研究のみを行うことに変更。数回に及ぶ本学倫理審査委員会とのやり取りを経て、平成28年11月に承認を得た。その後EDCシステムの構築のために時間と費用を要したが、実地シミュレーションも終え平成29年4月より症例登録を開始した。 基礎研究は、平成28年度は、研究C)身体トレーニング+アミノ酸補充による癌カヘキシーの抑制効果の検討を中心に行った。対象をマウスからラットに変更し、プレ実験として、1)ラットに癌誘導した際のカヘキシーモデルとしての妥当性検証、2)ラットに癌誘導と運動を同時に行なう4群比較の検討を行った。その結果、1)癌誘導により有意な体重減少、下腿筋重量の減少、IL-6発現の増加がみられ、筋分解マーカーは遅筋、速筋双方で有意に増加し、筋分解シグナル分子であるFoxO3aタンパク発現は速筋で有意に低下していた。以上から癌カへキシーモデルとしての妥当性が示されたため、2)対照群、運動群、癌細胞接種群、運動+癌細胞接種群の4群比較実験を行った。体重は癌細胞接種により低下したが、運動による体重減少抑制はみられなかった。下腿筋量は癌細胞接種により低下し、運動による部分的な抑制がみられた。現在分子機序を検討中。今回は運動を癌誘導と同時に行ったが、平成29年度は運動+アミノ酸補充による抗筋萎縮効果を検討する。研究D)抗炎症マイオカインの有無による癌カへキシー抑制効果の検討については、使用する動物(IL-15TGマウス、IL-15KOマウス)を必要数確保するため、交配を継続中。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
臨床研究は、当初の計画では平成28年度中に症例エントリーを行うことになっていたが、倫理審査とEDCシステム構築に時間を要したことから平成28年度中の症例エントリーを行うことができなかった。そのため計画よりは遅れているが、時間をかけたことにより臨床研究の遂行のための基盤は確立できた。 基礎研究は、研究C)身体トレーニング+アミノ酸補充による癌カヘキシーの抑制効果の検討は、プレ実験により癌カヘキシーモデルに対する身体トレーニングにより骨格筋の質・量が改善することが示されたことにより、本実験に移行することが可能となっており、ほぼ計画どおり進行している。 研究D)抗炎症マイオカインの有無による癌カへキシー抑制効果の検討は、平成28年度の目標が使用マウス数の確保としていたため、前述のとおりほぼ計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
臨床研究に関しては、開始準備が整ったこと、エントリー基準を満たす症例の抽出システムも構築済みであるため、確実に症例を蓄積できると考えている。 基礎研究に関しては、平成28年度までは研究グループにおける実働者が十分ではなかったが、平成29年度より2名の実働者が加わったことにより、研究の進捗は加速するものと思われる。また平成28年度にプレ実験を行ったことにより、本実験を行う際の無駄が省かれることが予測される。
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Research Products
(1 results)