2016 Fiscal Year Annual Research Report
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16H05288
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
田中 靖人 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90336694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 裕幸 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60186210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HBV / siRNA / MEND / 抗ウイルス療法 / 新規免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、B型慢性肝炎患者では、CD8+T細胞は抗原提示を長期間受けた免疫寛容状態にあるため、HBV特異的T細胞が抗原を認識した期間によって抗CD40抗体のT細胞に対する効果が変化するかを検討した。HBV特異的T細胞受容体を発現するトランスジェニック(Tg)マウスから取り出したCD8+T細胞を、肝臓内でHBVを複製するHBV-Tgマウスに養子移入し、養子移入後早期および後期に抗CD40抗体でHBV-Tgマウスを処理した。既報の通り(Isogawa M, et al. PLOS Pathogen 2013)、養子移入後早期に抗CD40抗体を投与した場合には、HBV特異的CD8+T細胞は機能性を獲得し、肝臓内HBV-mRNA量が低下した。これに対し、養子移入後後期すなわちT細胞が抗原を長期間認識した後に抗CD40抗体を投与した場合、T細胞の機能性は回復せず、肝臓内HBV-mRNA量は不変であった。すなわち、抗CD40抗体の単独治療およびsiRNAによる抗原抑制との併用療法は、B型慢性肝炎における機能的CD8+T細胞応答誘導には不十分であることが予想され、今後の研究の方向性に関わる重要な知見を得た。 2、HBs特異的ヒト抗体遺伝子トランスジェニックマウスの作製:HBs特異的ヒト抗体遺伝子トランスジェニックマウスを作製する準備のために、ヒト抗体遺伝子のVH領域およびVL領域を、それぞれ、マウスCγ2a(膜型、分泌型)およびCκ遺伝子に接続したコンストラクトを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、抗ヒトCD40抗体の最適化を図るにあたり、まず抗CD40抗体のHBV特異的CD8+T細胞応答への影響を、治療の対象となるB型慢性肝炎患者に近い状態のT細胞を模したモデルを用いて詳細に解析した。この結果、抗CD40抗体によるHBV特異的CD8+T細胞の機能性誘導は、抗原認識後早期に治療介入した場合に比べ、T細胞が長期的に抗原認識した後に治療した場合には、治療効果が低くなることが分かった。抗CD40抗体の単独治療およびsiRNAによる抗原抑制との併用療法は、B型慢性肝炎における機能的CD8+T細胞応答誘導には不十分であることが予想され、今後の研究の方向性に関わる重要な知見を得た。この点において、研究は概ね順調に進展していると考える。 2、HBs特異的ヒト抗体遺伝子トランスジェニックマウスを作製する準備のために、ヒト抗体遺伝子のVH領域およびVL領域を、それぞれ、マウスCγ2a(膜型、分泌型)およびCκ遺伝子に接続したコンストラクトを構築した。現在、それぞれの抗体が機能を持った状態で発現できるか、タンパク質を発現させて検証中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1、HBV抗原発現抑制によるHBV特異的T細胞応答の誘導と肝障害緩和 (名古屋市立大学・北海道大学):HBVに対する複数のsiRNAをMEND(multifunctional envelope-type nano device)を用いて肝臓へとデリバリーし、一過性の抗原抑制と抗CD40抗体治療を併用したが、抗原抑制による機能的なT細胞応答の回復は誘導できなかった。今年度は、siRNAによる抗原抑制、T細胞の誘導及び液性免疫の相乗効果を検討する。 2、HBV特異的液性免疫応答の評価系の確立:(1)HBs特異的B細胞応答の評価系の構築:蛍光標識した4量体HBs抗原を構築する。このHBs抗原に結合するB細胞がフローサイトメトリーで測定できることを、まずはHBs抗原で免疫した野生型マウスで検証する。(2)HBs特異的抗体応答の評価系の確立:抗体が結合しているHBs抗原としていないフリーのHBs抗原は分子量および複合体のサイズにより判別し、それぞれを定量できるかを検討する。 3、HBs特異的ヒト抗体のV領域をマウスの定常部領域に結合させて、機能的抗体が作製できることを確認できれば、ヒト抗体を相同組換えにより、マウスゲノム遺伝子に組み込むためのコンストラクトを構築する。新学術領域研究「学術研究支援基盤形成」の支援を受けて、ヒト抗体遺伝子がマウス抗体定常部領域の5’側に組み込まれたマウスを作製する。
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[Journal Article] Novel monitoring of hepatitis B reactivation based on ultra-high sensitive hepatitis B surface antigen assay2017
Author(s)
Shinkai N, Kusumoto S, Murakami S, Ogawa S, Ri M, Matsui T, Tamori A, Toyoda H, Ishida T, Iida S, Tanaka Y.
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Journal Title
Liver Int.
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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