2016 Fiscal Year Annual Research Report
核マトリクス蛋白を標的としたオートファジー関連消化器難病疾患の早期診断法の開発
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16H05293
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 純夫 順天堂大学, 医学部, 教授 (20138225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (20317382)
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
今 一義 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30398672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 核マトリクス蛋白 / 膵炎 / 膵癌 / 肝癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はオートファジー抑制が膵上皮・小腸においてどのような病態形成に結びつくのか、また核マトリクス蛋白発現がどのように変化するかを解析するための前段階として、モデルマウスとなる膵上皮・小腸特異的オートファジー欠損マウス作成を中心に行った。 現在、膵上皮・小腸特異的オートファジー欠損マウスを作製し、発現型を解析中である。膵上皮・小腸特異的オートファジー欠損マウスでは、コントロールマウスと比較し、血清アミラーゼ値とリパーゼ値が増加傾向にあった。さらに膵組織は委縮傾向にあった。またこれらマウスを用いてセルレイン腹腔内投与による膵炎モデルを作製したところオートファジー欠損により血清中アミラーゼ値とリパーゼ値の増加が促進し、膵細胞壊死が増悪することが分かった。さらにcleaved-caspase3とcleaved-caspase7発現が増加することからオートファジー抑制によって膵アポトーシスが誘導されることが分かった。現在、膵組織から核マトリクス蛋白を抽出し、発現蛋白変化を解析中である。さらにコントロールマウス(Atg7 flox/flox)と膵細胞・小腸特異的オートファジー欠損マウス、肝特異的オートファジー欠損マウス(Atg7 flox/flox:Alb-Cre)より血清を採取し、発現蛋白の解析を行っている。また膵上皮・小腸特異的オートファジー欠損マウスを長期飼育し膵発癌形成が可能なのか、またどのタイミングで発癌が生じるのかについても観察中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度研究の中心となるモデルマウス作成が完了しており、このモデルマウスを使用した解析を行うことが可能な状態となったため、研究はおおむね順調に進んでいるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、膵上皮・小腸特異的オートファジー欠損マウスと肝細胞特異的オートファジー欠損マウスを用いた発現蛋白変化ならびに膵、小腸における病態形成の解析を行ってゆく。またヒト由来膵細胞株、ヒト由来肝細胞株にsiRNAをもちいたAtg7遺伝子のsilencingを行い、オートファジーを抑制した時の核マトリクス蛋白発現変化が動物モデルと同様であるかを検討する。 今年度は、さらにヒト検体を用いた検証を並行して行う予定である。肝オートファジー抑制によって発現が増加することがわかっている核マトリクス蛋白14-3-3ζ、Importinα4、Importinβ1蛋白が肝癌組織において正常組織(非癌部)と比較して発現が変化しているかを免疫染色によって検証する。さらにこれら蛋白に対するsiRNAを作成し、肝細胞株、膵上皮細胞株においてこれら蛋白の発現抑制を行い、低栄養環境下での細胞増殖・細胞死がどのように変化するのかを検証する。またこれら細胞株のメタボローム解析を行い、核マトリクス蛋白によって細胞内代謝がどのように変化するのかについて解析を行い、オートファジー抑制によって変化する核マトリクスが細胞内代謝にどの様にかかわっているのかについて検討を行う。
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