2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an early diagnosis method targeting nuclear matrix protein for autophagy-related digestive disorder disease
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16H05293
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
渡辺 純夫 順天堂大学, 医学部, 特任教授 (20138225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池嶋 健一 順天堂大学, 医学部, 教授 (20317382)
山科 俊平 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30338412)
今 一義 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30398672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 核マトリクス / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の解析によって肝癌細胞株や膵癌細胞株においてオートファジー抑制が核マトリクス蛋白発現を劇的に増加させることがわかった。発現増加をきたした蛋白数が膨大であったため、これら蛋白のなかで、オートファジー抑制動物モデルにおいても発現が増加した蛋白に着目し、細胞増殖や細胞死との関係について解析を行った。これら蛋白に対するsiRNAを作成し、肝癌細胞株に添加した。細胞より蛋白を抽出しウエスタンブロット法にて蛋白発現変化を解析し、効率的に蛋白発現の抑制をきたすsiRNAを選択した。次にこのsiRNAを肝癌細胞株に添加し細胞数の経時的変化について解析を行ったところ、蛋白発現の抑制は肝癌細胞株の増殖を有意に抑制していた。さらにsiRNAによるこれら蛋白の発現抑制を行った肝癌細胞株をKrebs-Ringer Modified Buffer(低栄養環境)下で培養し、細胞死誘導に関してWST-1アッセイにて評価を行った。これら蛋白の発現抑制を行った肝癌細胞株では細胞死が有意に強く誘導されることが分かった。以上のことから腫瘍細胞株ではオートファジー機能抑制において生じる細胞内変化に適応し、増殖促進や細胞死耐性に利用するシステムを構築している可能性が示唆された。特にオートファジー基質蛋白p62が強発現している肝癌細胞株JHH5細胞株においてこれらの特性は強く誘導されることが分かった。現在、これら蛋白の発現変化が細胞株においてどのように代謝変化をきたすのかを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
膵液や胆汁中の蛋白発現解析はモデル動物から極少量の膵液、胆汁しか採取できなかった。膵液・胆汁において標的蛋白が発現しているかを検証してみたが、検出することはできなかった。蛋白検出が不能であった理由が検体の量の問題なのか蛋白発現の問題なのかの判定は難しい状況であった。そこで動物解析から癌細胞株を用いた解析に移行する方針としたところ解析のスピード化が可能となった。一方で、動物モデル解析や腫瘍細胞を用いた蛋白機能解析に時間を要したこともあり、現時点では肝癌主体の解析にとどまってしまい膵癌や胆管癌の解析がやや遅れがちとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、今までの解析結果を基にしてヒト検体を用いた解析を主体とする方針である。現時点では肝癌主体の解析に偏ってしまい膵癌や胆管癌の解析が遅れがちとなっているので、臨床検体解析では膵癌や胆管癌を組み込んでマーカー蛋白発現に関して発現解析を行う。さらに臨床病態との相関に関しても検討を行う予定である。また動物モデルで困難であった解析可能量の胆汁・膵液採取に関してヒト検体を用いた解析を行うことで臨床的応用の可能性を検証する方針である。
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