2016 Fiscal Year Annual Research Report
血管平滑筋細胞の脂肪酸組成と分化転換:糖尿病性動脈硬化の新規メカニズムの解明
Project/Area Number |
16H05294
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
倉林 正彦 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00215047)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯 達也 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10400756)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 血管平滑筋 / 形質変換 / 脂肪酸 / KLF4 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまで血管平滑筋細胞(SMC)の形質変換の分子機構の解析によって、動脈硬化のメカニズムを解明することを目指してきた。本研究では、脂肪酸の鎖長伸長反応を触媒するElovl6の欠損マウスおよび欠損細胞を用いて、脂肪酸組成の変化がSMCの形質に与える影響を解析している。これまでに以下の点を明らかにした。(1) Elovl6欠損マウスでは血管傷害後の新生内膜形成が著明に抑制される、(2)培養ヒト大動脈SMC中のElovl6発現をノックダウンさせるとPDGFに対する反応性が完全に消失すること、(3)SMCマーカー(平滑筋αアクチンやSM22α)の発現が抑制されること、(4)エネルギーセンサーとして機能するAMP-activated protein kinase (AMPK)が強力に活性化する機構として、セストリンの誘導が重要であること、および(5)Elovl6欠損SMCでは細胞リプログラミング因子であるKLF4の発現が著明に誘導され、その機序としてAMPKの活性化が仲介すること、である。したがって、脂肪酸の「質」の変化がSMCの形質を劇的に変化させるメカニズムとしてAMPK/KLF4経路が主要な役割をすると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Elovl6欠損マウスとSM22alpha-Creマウスと交配が順調に進む見通しである。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下の2点の解析を優先的に行う。 1.Elovl6 欠損が血管平滑筋細胞の形質変換を起こすメカニズムの解析 Elovl6 欠損は、酸化ストレスおよびセストリンの誘導を介して、SMCの形質変換を誘導するという仮説を検証する。ERストレスマーカーとしてPKR-like ER kinase (PERK), inositolrequiring enzyme 1 (IRE1),ATF6, BiP, eIF2a) C/EBP-homologous protein (Chop), ATF4の発現を検討する。。 2.SMC 特異的Elovl6 欠損マウスの作製と動脈硬化形成の検討 SM22alpha-Cre マウス(Washington 大学Dr. Clay F. Semenkovich より供与を受けている)を用いてSMC特異的Elov6 欠損マウスを作製する。このマウスを高脂肪食にて飼育し、大動脈壁における脂肪酸分画、プラーク面積や組織病理変化、SMC -, マクロファージ-、骨芽細胞‐マーカー遺伝子の発現変化をflox/flox マウスおよび全身性Elov6 欠損マウスと比較する。
|