2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular Mechanism of Cardiorenal Syndrome through Flt-1 system: Involvement of novel LncRNA
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16H05301
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊澤 拓也 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10745441)
尾上 健児 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90510173)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心腎連関 / Lnc RNA / Flt-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、過去10年に渡り心腎連関の分子機序の解明に一貫して携わってきた。その過程で、胎盤増殖因子(PLGF)とその受容体であるFms-like tyrosine kinase-1 (Flt-1)の情報伝達系が、慢性腎臓病(CKD)に合併する動脈硬化や心不全易発症性に関与していることを報告してきた。また、Flt-1の可溶性アイソフォーム(sFlt-1)はPLGFの内因性の拮抗剤として働くが、sFlt-1特異的ノックアウトマウス(sFlt-1KO)に圧負荷(TAC) を加えた時に、特異的に発現低下するLncRNA(Lnc RNA X)を発見しその機能解析と意義を本研究では解析している。本年度は、以下のことを明らかにした。 1)LncRNA Xの生化学的解析:LncRNA Xは全長約3.5Kbpであるが、いくつかの欠失変異体を作成して検討し、機能ドメインを全体の1/4までの絞り込みに成功した。このドメインによりMEK-ERK系のタンパク質Yに直接結合しERK1/2のリン酸化が抑制されることを確認した。 2) LncRNA Xのin vitro機能解析:LncRNA XをノックダウンするためにsiRNAXやshRNA Xを作成し、AAVに組み込み初代心臓線維芽細胞に強発現すると、細胞増殖が促進することを確認した。 3) LncRNA Xのin vivo機能解析 :sFlt-1KOでは圧負荷によりLncRNA Xが減少しているので、LncRNA Xをアデノ随伴ウィルスベクター(AAV)に組み込んでレスキュー実験を実施すると、AAV-LncRNA XでTAC後の予後が改善することを確認した。また、AAV-LncRNA Xでは、心機能が回復し、心肥大が抑制された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画として、新規に同定したLnc RNA Xの機能解析として、i)心臓繊維芽細胞におけるlncRNA Xの機能解析、 ii)心筋細胞細胞におけるLncRNA Xの機能解析 iii)LncRNA XのMEKとの会合機序を解明、iv)LncRNA Xのin vivoでの機能解析 iv)LncRNA Xのin vivoでの機能解析、の4研究を計画していた。その他はLncRNA Xのヒトホモローグの探索を当初の計画としていた。 これらの計画の中で心筋細胞での解析は、試みたが綺麗な結果を得られていない。その大きな原因は、心筋細胞が分裂しない細胞であり、細胞数の問題と思われる。 線維芽細胞細胞における研究は当初の予定を得た。LncRNAXの生化学的機能ドメインの解析は全体の1/4まで絞り込むところまで進んでいるが、コアドメインまでの同定には至っていない。立体構造がターゲットタンパク質との結合に重要である可能性があり、この点に関してはさらに解析が必要である。In vivo実験は本LncRNA Xの機能を確認するために、最も重要であるが当初の期待される結果を得ることができた。 ヒトホモローグの解析は、機能ドメインの解析と協調して進行する点があり、遅れている。また、本Lnc RNA Xをベクターにしてダイレクトに結合するタンパクYを同定し、さらにヒトタンパク質Yをベクターにして結合RNAを探索することを開始している
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定は、新規LncRNA X研究において、明らかになってきた部分で論文作成作業を開始している。また、これまでで明らかになっていない以下の点に関してさらに解析を続ける。 1)LncRNA Xのヒトホモローグの探索 単純なホモロジーサーチではヒトホモローグが検索されてこないので、さらに検討を加える。LncRNA Xの直接に結合するタンパク質Yは同定済みであるが、そのYをベクターにしてヒトLncRNA Xを探索する。 2)病態でのLncRNA Xの意義を検討するためにin site hybridization 法を検討始めているが、その系がほぼ確立した。この系を用いて、圧負荷心不全だけでなく、他の心不全モデルでのLncRNA Xの発現を検討する。 3) このLncRNA Xは野生型TACでは発現が変化せずsFlt-1KO-TACのみで発現減少していることから、このLncRNA Xの転写調節機構にPLGF/Flt-1系、MCP-1系に応答する転写調節配列を同定する。まず、LncRNA Xのプロモーター領域に存在する、転写因子の結合配列を結合配列予測サイトなどを用いて検索する。予測された転写因子がLncRNA Xのプロモーター領域に存在しているかをクロマチン免疫沈降により検討する。また、LncRNA Xの5’転写調節領域をクローニングレポータ遺伝子を作成して、これらを用いてPLGF/Flt-1系、MCP―1系で応答する配列を検討すると共に、LncRNA Xの転写調節機序を解析する。
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Research Products
(5 results)