2017 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬に対して高感受性を示すがん微小環境の研究
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16H05311
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
石井 源一郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 分野長 (00270869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 雅人 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医長 (40643606)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 微小環境 / 薬剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGF受容体チロシンキナーゼ阻害薬(以下EGFR-TKI)は、EGFR遺伝子変異を有する肺腺癌の治療に使われており、臨床的にも一定の効果が確認されている。しかしEGFR遺伝子変異を有していても、約20%の症例では初回治療に抵抗性を示すことが知られている。この初期耐性の原因として、がん細胞の周囲に存在する線維芽細胞の関与が報告されてきた。我々は、肺癌切除検体より採取した線維芽細胞を用いた研究過程で、肺腺癌細胞のEGFR-TKI感受性を増強する線維芽細胞の亜集団を見出した。本研究の目的は、上記線維芽細胞の生物像を解明し、EGFR-TKI感受性を増強する分子機構を解明することである。 2016年度、2017年度は、上記現象を引き起こすCD200分子発現CAFsの同定を行った。本年度は、昨年度に引き続き、1)癌細胞側に引き起こされる分子機構の解明、2)この現象が、抗がん剤を用いた時にも起こりうる現象かどうか、およびその分子機構の解明、を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の仮説を検証するため、がん細胞側に発現している候補分子(CD200R)を検討した。しかしながら、上記受容体は、RNAレベルでの発現を認めたものの、細胞表面の蛋白レベルでの発現を確認できなかった(FACSにより検討した)。 以上の結果より、他受容体の候補分子も検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は以下の実験を行う。 1)使用したPC-9細胞にCD200R分子の発現誘導が引き起こされるかどうか? 定常状態では、PC-9細胞にはCD200R膜蛋白の発現は認められなかった。そこで EGFR-TKI投与中に、CD200R分子の発現誘導が起こるかどうかを検討する。具体的にはEGFR-TKI投与後、day1, day2, day 3にPC-9細胞を回収し、FACSにより、CD200R発現を検討する。2)CD200分子の細胞外ドメイン欠損体を数種類作製する。これらをCAFsに過剰発現し、PC-9細胞と共培養、EGFR-TKI処理を行う。CD200のどの領域が、感受性亢進に重要な領域かを同定する。3)他のCAFsを用いて同様にPC-9細胞と共培養、抗がん剤処理を行う。全体で約10種類のCAFsを予定する。抗がん剤感受性を亢進するCAFsを今までのスクリーニング方法と同様の方法を用いて同定する。さらに、CFAsに発現している責任分子を同定する。同定された責任分子とCD200分子との分子相関、あるいはレセプターを介したシグナルの類似性の解明を行う。4)上記の研究を介して、薬剤感受性を亢進するCAFsそして、それらが形成する微小環境の特徴を明らかにする。
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[Journal Article] CD200-positive cancer associated fibroblasts augment the sensitivity of Epidermal Growth Factor Receptor mutation-positive lung adenocarcinomas to EGFR Tyrosine kinase inhibitors.2017
Author(s)
Ishibashi M, Neri S, Hashimoto H, Miyashita T, Yoshida T, Nakamura Y, Udagawa H, Kirita K, Matsumoto S, Umemura S, Yoh K, Niho S, Tsuboi M, Masutomi K, Goto K, Ochiai A, Ishii G.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: Apr 21;7:46662
Pages: 1-13
DOI
Peer Reviewed / Open Access