2017 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病で増加する可溶型(プロ)レニン受容体の病態意義の解明と分子標的療法開発
Project/Area Number |
16H05316
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
市原 淳弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60203105)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高血圧 / 生体分子 / 生理活性 / レニン‐アンジオテンシン系 / Wntシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に可溶性(プロ)レニン受容体のヘテロマウスを作成したが、可溶性(プロ)レニン受容体のヘテロマウス自体には外見上は野生型と変化が無く、各種臓器における組織や生理機能およびテレメトリー血圧にも特段の異常が無いことを確認した。そのため、平成28年度から29年度にかけて、可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウスを作成し、可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウスとヘテロマウスを識別するジェノタイピング法を開発した。しかし、可溶性(プロ)レニン受容体ホモマウスも、外見上は野生型と変化が無く、各種臓器における組織や生理機能やテレメトリー血圧にも特段の異常が無いことを確認した。そこで、平成29年度においては、プロレニンが可溶性(プロ)レニン受容体のリガンドであり、糖尿病腎症や妊娠高血圧症候群で増加することが知られているため、可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウスとプロレニン過剰発現マウスとの交配によるダブルトランスジェニックマウスの作成を開始した。現在もなお施行中である。しかし、このダブルトランスジェニックマウスの完成に時間を要すことが予想されたため、その時間を利用して、可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウスにストレプトゾトシン負荷を行い、糖尿病モデルの心臓、腎臓、血管など各種臓器における検討を並行して試みたが、血糖上昇による腎臓障害の発症に耐性を示しており、糖尿病腎症惹起・心不全の発症・酸化ストレス負荷などの更なる負荷をかけての再検討が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度の進捗状況はおおむね順調であったが、平成28年度における可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウス作成に時間を要したことが尾を引き、その分の若干の遅れが挽回できずに残っている。
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Strategy for Future Research Activity |
①(プロ)レニン受容体のホモマウスとプロレニン過剰発現マウスとの交配を続行し、ダブルトランスジェニックマウスを得る。②また、可溶性(プロ)レニン受容体のホモマウスを片腎摘出をした後にストレプトゾトシン負荷を行い、糖尿病腎症モデルを作成する。③上記の①②で得られたマウスを用いて、慢性腎臓病合併NCDsアウトカムを評価する。 慢性腎臓病合併アウトカム評価は、以下の通りである。 血圧:テレメトリー(Ichihara, J Am Soc Nephrol, 2006)。心機能:心エコー、血漿BNP、心重量、心組織染色(Kinouchi, Ichihara, Circ Res, 2010)。腎機能:尿蛋白測定、血清クレアチニン、腎組織染色(Ichihara, J Am Soc Nephrol, 2006)。臓器AngII:心、腎、脳、大血管、肝臓、骨格筋、骨、脂肪、子宮、胎盤(Ichihara, J Am Soc Nephrol, 2006)。耐糖能:75g-oGTT、ITT(Nagai, Ichihara, Exp Physiol, 2009)。糖代謝:メタボロミクス(Kanda, J Biol Chem, 2015)。悪性腫瘍合併:膵臓癌(Shibayama, Ichihara, Sci Rep, 2015)。筋・骨・運動能:血清マーカー、組織染色、運動耐用能評価
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