2017 Fiscal Year Annual Research Report
RNA結合タンパク質の機能障害を介した選択的神経変性機構の解明
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16H05320
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河原 行郎 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80542563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 穣 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40323646)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳神経組織 / 核酸 / 遺伝子 / 神経科学 / 細胞・組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) マウス生体内神経細胞を標的としたRNA標識技術最適化の検討 昨年、原生生物Toxoplasma gondii由来のUPRTをCre-loxP制御下で特定の神経細胞に誘導発現可能なUPRT Tgマウスと全神経細胞、小脳プルキンエ細胞でそれぞれCreリコンビナーゼを発現するNestin-Creマウス、Pcp2-Creマウスを交配し、組織特異的にUPRTを発現するマウスを樹立した。今年度は、グリア細胞にCreリコンビナーゼを発現するGfap-Creマウスとの交配も行い、4-TUを腹腔内に投与する量、濃度、投与後に脳脊髄組織を回収するまでの時間などのパラメーターを振って、4-SUが最も効率的にRNAに取り込まれる条件を確立した。 2) 各神経細胞の高精度RNA発現・RBP標的プロファイル作成と細胞種ごとの特徴付け 神経細胞へのRNA標識法を確立した後、各神経細胞に由来するRNAを回収し、研究分担者鈴木が、次世代シーケンサーで網羅的な解析を行った。非標識の全神経細胞、標識した全神経細胞、全グリア細胞、小脳プルキンエ細胞に由来する標識RNAを比較した。その結果、全神経細胞の場合には、特徴的なRNA発現プロファイルが得られることが分かった。一方、小脳プルキンエ細胞のように、標識する細胞の数が少ない場合には、非特異的に混入するRNAの影響を強く受けることも明らかとなった。このため、手法の改良が必要となった。現在、非特異的に混入したRNAをできるだけ除去し、かつ情報解析の段階でも見分けられるように改善を図っており、来年度も継続する予定。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、マウス生体内神経細胞を標的としたRNA標識技術を確立している。これを用いて、特定の神経細胞特異的な標識を行い、すでに網羅的シーケンスも行った。その結果、細胞数が少ない場合には、非特異的なRNAの混入の影響を強く受けることが判明したが、すでに改善策を検討している。このため、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、改良中のRNA標識技術の確立を引き続き行う。また、神経変性疾患モデルであるSCA1マウスを導入済みであり、すでにUPRTマウスと交配中である。来年度は、最終目標に向かって、このモデルを用いて、神経変性に伴うRNAプロファイルの変化を明らかにする予定である。
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Research Products
(5 results)