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2016 Fiscal Year Annual Research Report

DNAメチル化に着目した「エピゲノム記憶」の分子機構と機能的意義の解明

Research Project

Project/Area Number 16H05331
Research InstitutionTokyo Medical and Dental University

Principal Investigator

小川 佳宏  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (70291424)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsエピゲノム記憶 / FGF21遺伝子 / DNAメチル化 / PPARα
Outline of Annual Research Achievements

①FGF21遺伝子に焦点を当てたエピゲノム記憶の分子機構の解明
野生型マウス(C57/B6J)の肝臓におけるFGF21遺伝子のDNAメチル化状態を、バイサルファイトシークエンス法により、胎仔期後期(E14.5)、生後2日(D2)、16日(D16)、4週(4W)、10週(10W)および14 週(14W)の時点で検討した。その結果、E14.5からD16までの間に同遺伝子のDNA脱メチル化が進行し、D16までに形成された同遺伝子のDNAメチル化状態は4、10、14Wでは変化せず、乳仔期までに一旦形成された同遺伝子のDNAメチル化状態は成獣期まで維持されていた。同遺伝子のDNA脱メチル化は核内受容体PPARα欠損(ノックアウト)マウスでは認められず、PPARαの人工リガンドであるWy14643を妊娠後期~授乳期の母獣マウスに投与すると、産仔マウスの肝臓における同遺伝子のDNA脱メチル化が促進されることが明らかとなった。以上により、マウス肝臓におけるFGF21遺伝子のDNA脱メチル化はPPARα依存性であることが示唆された。成獣期にWy14643をマウスに投与してもFGF21遺伝子のDNA脱メチル化は誘導されず、マウス肝臓における同遺伝子のDNA脱メチル化は乳仔期特異的であることが示唆された。
②FGF21遺伝子に焦点を当てたエピゲノム記憶の機能的意義の解明
FGF21遺伝子のDNAメチル化状態の差異は、定常状態における遺伝子発現には影響を与えなかったが、成獣期にWy14643の一時的な投与や絶食などでPPARαを活性化すると、同遺伝子のDNA脱メチル化が進んでいるとその反応性の発現が有意に上昇した。以上により、同遺伝子のDNAメチル化状態はPPARα活性化刺激に対する遺伝子発現の応答性を規定していると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成28年度は、FGF21遺伝子のDNAメチル化変化を胎仔期から成獣期まで経時的に評価することができ、「エピゲノム記憶遺伝子」としての特徴を明らかにすることができた。更にFGF21遺伝子のDNAメチル化状態の機能的意義も明らかにすることができ、研究計画は順調に進行している。

Strategy for Future Research Activity

①FGF21遺伝子に焦点を当てたエピゲノム記憶の分子機構の解明
平成29年度は、免疫クロマチン沈降法(ChIPアッセイ法)により、PPARαやRXRαなどの転写因子、PPARγCoactivator-1α(PGC1α)などの転写共役因子、ten eleven translocation(TET)やmethylated DNA-binding domain protein(MBD)、thymine DNA glycosylase(TDG)などのDNA脱メチル化関連因子、DNA methyltransferase(Dnmt)などのDNAメチル化酵素がFGF21遺伝子のプロモーター領域に存在するPPARα結合配列あるいは近傍にどのようにリクルートされるのかを経時的に検討する。これらのDNAメチル化関連蛋白質がPPARαに結合して塩基配列特異的にリクルートされるのか否かを検討する。抗ヒストン抗体を用いてヒストン修飾を経時的に検討する。以上により、胎仔期~乳仔期のマウス肝臓においてPPARα依存的に誘導されるDNA 脱メチル化と成獣期までエピゲノム記憶される分子機構を明らかにする。
②FGF21遺伝子に焦点を当てたエピゲノム記憶の機能的意義の解明
前年度の検討により、FGF21遺伝子のDNAメチル化状態は、一時的なPPARα活性化刺激に対する遺伝子発現の応答性を規定していると考えられた。高脂肪食負荷は長期にかつ持続的にPPARαを活性化することが知られている。次年度には、Wy14643を妊娠後期~授乳期に投与した母獣マウスからの産仔マウスと母獣にDMSOを投与した対照群の産仔マウスの成獣期に60%高脂肪食負荷を10週間給餌し、FGF21遺伝子のDNAメチル化状態が代謝表現型にどのような影響を与えるかを検討する。

  • Research Products

    (8 results)

All 2016 Other

All Journal Article (3 results) Presentation (4 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 肥満のゲノム・エピゲノムを考える2016

    • Author(s)
      小川佳宏、橋本貢士
    • Journal Title

      日本内科学会雑誌

      Volume: 105 Pages: 376-382

  • [Journal Article] エネルギー代謝とDNAメチル化制御2016

    • Author(s)
      辻本和峰、橋本貢士、袁勲梅、川堀健一、榛澤望、小川佳宏
    • Journal Title

      実験医学増刊「遺伝子制御の新たな主役 栄養シグナル」

      Volume: 34 Pages: 95-101

  • [Journal Article] 肥満とDOHaD仮説2016

    • Author(s)
      橋本貢士、小川佳宏
    • Journal Title

      実験医学

      Volume: 34 Pages: 351-336

  • [Presentation] 糖脂質代謝のエピゲノム制御と機能的意義2016

    • Author(s)
      小川佳宏
    • Organizer
      第39回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • Year and Date
      2016-11-30 – 2016-12-02
  • [Presentation] 私の肥満研究2016

    • Author(s)
      小川佳宏
    • Organizer
      第37回日本肥満学会
    • Place of Presentation
      東京ファッションタウン(東京都・江東区)
    • Year and Date
      2016-10-07 – 2016-10-08
  • [Presentation] DOHaD仮説における糖脂質代謝関連遺伝子発現のエピゲノム記憶とその機能的意義2016

    • Author(s)
      橋本貢士、小川佳宏
    • Organizer
      第37回日本肥満学会
    • Place of Presentation
      東京ファッションタウン(東京都・江東区)
    • Year and Date
      2016-10-07 – 2016-10-08
  • [Presentation] Fibroblast growth factor 21遺伝子発現エピゲノム制御と機能的意義2016

    • Author(s)
      辻本和峰、橋本貢士、袁勲梅、川堀健一、榛澤望、小川佳宏
    • Organizer
      第37回日本肥満学会
    • Place of Presentation
      東京ファッションタウン(東京都・江東区)
    • Year and Date
      2016-10-07 – 2016-10-08
  • [Remarks] 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科分子内分泌代謝学分野

    • URL

      http://www.tmd.ac.jp/grad/cme/

URL: 

Published: 2018-01-16  

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