2016 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄性およびリンパ性白血病幹細胞に共有されるTIM-3増殖シグナル機構の解析
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16H05340
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宮本 敏浩 九州大学, 医学研究院, 准教授 (70343324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊繁 吉謙 九州大学, 医学研究院, 助教 (40619706)
赤司 浩一 九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | T-ALL / T細胞性腫瘍 / 白血病幹細胞 / TIM-3 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は癌幹細胞を標的とした治療モデルを白血病において確立するべく、世界に先駆けて白血病幹細胞特異的表面抗原TIM-3を同定し、その機能の解明に取り組んできた。TIM-3はヒト骨髄系腫瘍における白血病幹細胞特異的表面抗原であると同時に、その自己複製能力を正に制御する機能分子であることを見出した。先行研究の結果、TIM-3は骨髄系腫瘍のみならずT細胞性急性リンパ球性白血病(T-ALL)や一部の成熟T細胞性腫瘍にも発現していることを見出し、本研究においては、T細胞性腫瘍と骨髄系腫瘍に共通する悪性幹細胞抗原としてのTIM-3分子の機能解析を行い、腫瘍に共通するTIM-3分子の発現制御機構、およびその生物学的役割についての解明を行うことを目的とする。平成28年度は急性骨髄性白血病(AML)症例の解析に加えて、T-ALLおよび、T細胞性リンパ腫におけるTIM-3発現解析を行なった結果、T-ALLおよびT細胞性リンパ腫症例においてもAMLと同様に、腫瘍細胞がTIM-3を高率に発現していることを見出した(>80%)。さらに興味深いことに一般的に疲弊T細胞がTIM-3を発現する場合とは全く異なり、これらの腫瘍性T細胞においてはシグナル抑制性分子であるCEACAM-1との共発現は認めず、AML白血病幹細胞と同様にTIM-3の単独発現であることを見出した。さらにTIM-3シグナルの下流についても、TIM-3分子の下流で、canonical Wnt pathwayをTIM-3シグナルが直接的に誘導することを見出した。さらにその分子メカニズムについても、ある特定のSrc family kinaseが担っている可能性を見出しており、平成29年度もその分子基盤を明らかにするべく研究を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度にある程度の症例数においてT-ALL、およびT細胞性リンパ腫細胞におけるTIM-3発現の確認が終了しており、上述のように特徴的なCEACAM-1陰性TIM-3陽性の発現パターンを呈することを見出した。また、同様の解析をすでに先行しているAML白血病幹細胞についても解析を遂行し、共通点を確認している。さらに研究対象の一つであるTIM-3下流シグナルに関しては下流のSH2結合ドメインに結合するSrc family kinaseが具体的に何であるかについても、数個程度までinhibitor実験により、現段階ですでに絞り込みを終えており、概ね順調に進展していると考える。さらにこのSrc family kinaseの下流で、Canonical Wnt pathwayがWnt lignad independentに活性化する点も平成28年度の研究で明らかになった。すなわち、AML幹細胞と同様のphenotypeをT-ALL細胞、あるいは成熟T細胞性腫瘍が有しており、その昨日も共通していることが明らかになった。以上の経過から予定していた本研究課題については概ね順調に進展していると考えられます。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ヒトT-ALLあるいは成熟T細胞性腫瘍におけるTIM-3発現解析を昨年度に引き続き症例数を増やして行う。これと同時に、TIM-3分子の発現制御機構がT細胞と白血病幹細胞とで共通かどうかを明らかにするために次世代シーケンサーを用いてATAC-Seqを行い、クロマチン構造の観点から発現制御機構の解明を行う。予備研究において、骨髄性腫瘍における白血病幹細胞特異的なエンハンサー部位を同定しており、このエンハンサーがT細胞腫瘍の場合と共通であるかどうか、共通であるとすれば実際にエンハンサーを制御する転写因子は同一であるのかどうかについて検討を行う。 (2)昨年度に引き続き、T-ALLに関してはxenograftモデルを用いたTIM-3発現の有無に伴う幹細胞活性の差について検討を継続する。 (3)昨年度の研究遂行の結果、T-ALL、T細胞性腫瘍、骨髄系腫瘍に共通するTIM-3分子発現の特徴として、CEACAM1を発現せずにTIM-3分子を単独で表面に発現することを見出した。T細胞においてTIM-3分子によるT細胞活性化抑制にCEACAM1が必須であることが知られており、腫瘍においてはCEACAM1分子と共在しないことがT細胞とのシグナルの差を生じている可能性を見出しており、この点についても検討を行う。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Switching to nilotinib in patients with chronic myeloid leukemia in chronic phase with molecular suboptimal response to frontline imatinib: SENSOR final results and BIM polymorphism substudy2016
Author(s)
Miyamura K, Miyamoto T, Tanimoto M, Yamamoto K, Kimura S, Kawaguchi T, Matsumura I, Hata T, Tsurumi H, Saito S, Hino M, Tadokoro S, Meguro K, Hyodo H, Yamamoto M, Kubo K, Tsukada J, Kondo M, Aoki M, Okada H, Yanada M, Ohyashiki K, Taniwaki M
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Journal Title
Leuk Res
Volume: 51
Pages: 11-18
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Enhanced Reconstitution of Human Erythropoiesis and Thrombopoiesis in an Immunodeficient Mouse Model with Kit(Wv) Mutations.2016
Author(s)
Yurino A, Takenaka K, Yamauchi T, Nunomura T, Uehara Y, Jinnouchi F, Miyawaki K, Kikushige Y, Kato K, Miyamoto T, Iwasaki H, Kunisaki Y, Akashi K
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Journal Title
Stem Cell Reports
Volume: 7
Pages: 425-438
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Mogamulizumab treatment prior to allogeneic hematopoietic stem cell transplantation induces severe acute graft-versus-host disease.2016
Author(s)
Sugio T, Kato K, Aoki T, Ohta T, Saito N, Yoshida S, Kawano I, Henzan H, Kadowaki M, Takase K, Muta T, Miyawaki K, Yamauchi T, Shima T, Takashima S, Mori Y, Yoshimoto G, Kamezaki K, Takenaka K, Iwasaki H, Ogawa R, Ohno Y, Eto T, Kamimura T, Miyamoto T, Akashi K
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Journal Title
Biol Blood Marrow Transplant
Volume: 22
Pages: 1608-1614
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Calreticulin mutation does not contribute to disease progression in essential thrombocythemia by inhibiting phagocytosis.2016
Author(s)
Daitoku S, Takenaka K, Yamauchi T, Yurino A, Jinnouchi F, Nunomura T, Eto T, Kamimura T, Higuchi M, Harada N, Saito N, Miyamoto T, Iwasaki H, Akashi K.
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Journal Title
Exp Hematol
Volume: 44
Pages: 817-825
DOI
Peer Reviewed
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