2016 Fiscal Year Annual Research Report
新規モデルラットを用いたウエスト症候群の発症機序の解明
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16H05354
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大内田 守 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大守 伊織 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (20403488)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳神経疾患 / てんかん |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、点突然変異誘発剤処理したラットから生まれた系統群の表現型解析研究を続けた結果、難治性てんかんウエスト症候群からレノックス・ガストー症候群への変容に似た経過を示す疾患ラットの系統を見出した。次世代シークエンス解析で調べたところ、唯一見つかった変異遺伝子はこれまでにヒトのウエスト症候群で報告のない新しい遺伝子であった。 本年度は、ウエスト症候群およびレノックス・ガストー症候群患者に当該遺伝子の変異を持つ人が存在するかを調べるために、ヒト患者DNAを用いて遺伝子変異解析を行った。当大学医学部小児神経科との共同研究で、小児難治性てんかんの患者および両親の血液を採取し、DNAを抽出した。当該遺伝子の各エキソンを挟み込むプライマーを作成し、ABI3100蛍光シークエンサーにより当該遺伝子の変異検索を行った。これまでのところ、エキソン領域にアミノ酸置換を伴うDNA変異は検出されなかった。イントロン領域に5個のSNPを見出した。複数の患者検体で、エキソンの近傍にデータベースの配列とは異なる配列が存在することを見出した。当該DNA断片をプラスミドにクローニングしシークエンス解析することにより、その異なるDNAの配列を解読した。その結果、ある一定の配列が繰り返して複数コピー挿入されており、コピー数は人によって異なっていた。この繰り返し配列のコピー数増加が当該遺伝子の発現に悪い影響を及ぼし、疾患発症を引き起こしているのかは現在不明である。また、疾患ラットの病態解析をするために、各週齢における変異ラットの臓器を摘出し、臓器の保存と病理組織切片の作成を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト患者における遺伝子解析と疾患ラットを用いた解析が、それぞれ進んでいる。今の所、どちらの系も順調に進んでいると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)本遺伝子とヒト疾患発症との関わりの解明;ヒトのてんかん患者に本遺伝子の変異を持つ患者が存在するか、患者検体の収集と遺伝子解析を継続する。イントロン領域に見つかった繰り返し配列について、詳細に調査する。 (2)変異蛋白の機能解析;当該正常型遺伝子、および、変異型遺伝子のcDNA発現ベクターを構築し、蛋白を精製後、機能解析を行う。当該遺伝子がコードする蛋白の機能が評価可能な測定系を考案する。 (3)各臓器における当該遺伝子の発現解析;疾患ラットと野生型ラットから摘出した臓器を用いて、RNAと蛋白を抽出する。RT-PCRとウエスタンブロットにより、疾患ラットの臓器における当該遺伝子産物の発現量を比較検討する。
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