2017 Fiscal Year Annual Research Report
新規モデルラットを用いたウエスト症候群の発症機序の解明
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16H05354
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大内田 守 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (80213635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大守 伊織 岡山大学, 教育学研究科, 教授 (20403488)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | てんかん / 疾患モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らは、点突然変異誘発剤処理したラットから生まれた系統群の表現型解析研究を続けた結果、難治性てんかんに酷似した症状を示す疾患ラットの系統を見出した。次世代シークエンス解析で調べたところ、唯一見つかった変異遺伝子はこれまでにヒトの難治性てんかんで報告のない新しい遺伝子であった。 ヒトにおける遺伝子変異解析: 昨年度に、てんかん患者に当該遺伝子の変異を持つ人が存在するかを調べるためヒト患者DNAを用いて遺伝子変異解析を行ったところ、イントロンのエキソン近傍に、ある一定の配列が繰り返して複数コピー挿入されておりコピー数は人によって異なっている事を見出した。本年度は、この繰り返し配列のコピー数増加が疾患発症と関わっているのか、健常人DNAを用いて解析を行った。現在のところ、患者群では約49%にリピート数の増加が見られたが、健常人群では約21%であった。 変異蛋白の機能解析: 疾患ラットで見つかった変異型遺伝子と正常型遺伝子のcDNA発現ベクターを構築し、ヒト培養細胞に導入後、発現蛋白をFLAG-Tagを用いて精製した。当該蛋白活性を測定する市販のキットが見つかったので、それを用いて活性測定を行ったところ、変異型は正常型に比べて活性が50%以下へ低下していた。ドミナントネガティブ効果は確認されなかった。 各臓器における当該遺伝子の発現解析:生後1ヶ月、4ヶ月、12ヶ月の疾患ラットと野生型ラットから脳、心臓、腎臓、肝臓を摘出し、蛋白を抽出後、当該蛋白に対する抗体を用いてウエスタンブロットを行なった。疾患ラットにおける当該蛋白の発現は野生型ラットの発現パターンとほぼ同じであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト患者における遺伝子解析と疾患ラットを用いた解析が、それぞれ進んでいる。今の所、どちらの系も順調に進んでいると感じている。
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Strategy for Future Research Activity |
本疾患モデルラットを用いて、血液の生化学検査や病理解析を行う。 本疾患モデルラット、および、野生型ラットから組織を摘出後、RNAを抽出し、マイクロアレイによる遺伝子発現解析を行う。 cDNA発現ベクターより発現させた変異型蛋白質、および、正常型蛋白質を用いて蛋白・蛋白の相互作用の解析を進め、疾患発症の分子メカニズムを検討する。
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