2017 Fiscal Year Annual Research Report
時計遺伝子群の変異を原因とする自閉性障害の分子病態メカニズムの解析
Project/Area Number |
16H05363
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
永田 浩一 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (50252143)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症 / 大脳皮質形成 / シナプス / 時計遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉性障害(ASD)は、社会性・言語やコミュニケーション能力の発達障害、および、限定されたあるいは反復した行動・興味・活動、を主たる症状とする発達障害である。申請者らはASD患者の遺伝子解析を行い、11種類の時計遺伝子(TIMELESS (TIM), NR1D1, PER1-3, CLOCK, BMAL1/2, MTNR1A/B, CSNK1E)にアミノ酸置換を伴うミスセンス変異を発見した。 本研究では、NR1D1, PER3,TIMELESSに関して、独自に構築した“発達障害関連分子のin vivo/in vitro解析バッテリー”を用いて、時計遺伝子群の生理機能/病態機能解析を遂行した。具体的には、in vivo実験として、①大脳皮質神経細胞移動、②軸索伸長、③樹状突起の発達、④細胞周期、⑤海馬歯状回顆粒細胞の形態解析、⑥マウス行動解析を行う。一方、in vitro解析として、⑦海馬神経細胞のシナプス形態解析、⑧生化学実験、⑨分子細胞生物学実験、⑩電気生理学的実験を行った。各項目の実験は共通の基本戦略に基づいて遂行した。すなわち、対象遺伝子のノックダウン(RNAi)とレスキュー実験を行うことで生理機能の解析を、また、発現を抑制した状態で変異遺伝子の強制発現(変異体レスキュー)を行うことで病態機能の解析を行った。 上記の解析の結果、NR1D1とPER3の遺伝子異常がASDなどの発達障害の病態を形成するメカニズムの一端を明らかにし、原著論文として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ライブイメージデータ解析の過程で、当初の想定に反し、通常の実験条件ではPER3とTIMELESSの機能阻害が発生期マウス大脳皮質神経細胞の移動障害を起こさないことが判明した。そのために、使用するプラスミド濃度を増加させて再度ライブイメージを詳細に行う必要性が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗がやや遅れた問題点が解決できたので、今後は順調に解析が進むと想定している。
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[Journal Article] Role of a heterotrimeric G-protein, Gi2, in the corticogenesis: Possible involvement in periventricular nodular heterotopia and intellectual disability.2017
Author(s)
Hamada N, Negishi Y, Mizuno M, Miya F, Hattori A, Okamoto N, Kato M, Tsunoda T, YamasakiM, Kanemura Y, Kosaki K, Tabata H, Saitoh S, Nagata K
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Journal Title
J. Neurochem.
Volume: 140
Pages: 82-95
DOI
Peer Reviewed
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