2017 Fiscal Year Annual Research Report
各種細胞特異的Fli1欠失マウスを用いた全身性強皮症の系統的病態解析
Project/Area Number |
16H05366
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅野 善英 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60313029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 全身性強皮症 / Fli1 / 血管内皮細胞 / B細胞 / 表皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
全身性強皮症の疾病因子の一つである転写因子Fli1に着目し、loxP-Creシステムを活用して各種細胞特異的Fli1欠失マウスを作製し、強皮症の病態における各種細胞の役割について解析を進めている。 今年度は上皮細胞特異的Fli1欠失マウスについて結果が得られた。表皮角化細胞においてsiRNAを用いてFli1の発現を抑制すると、K6, K16などの創傷治癒関連ケラチンの発現亢進、およびIL-1alphaやCTGFなど線維芽細胞を活性化する因子の発現亢進がみられ、これらの形質変化は強皮症患者の表皮角化細胞の形質と酷似していた。上皮細胞特異的Fli1欠失マウスを作製して解析したところ、このマウスでは①皮膚と食道の線維化が自然発症すること、②この2臓器の線維化の過程には重層扁平上皮の活性化が深く関与していること、③間質性肺疾患を自然発症すること、④胸腺髄質上皮においてautoimmune regulatory (Aire)の発現が低下して中枢性免疫寛容が破綻して肺に対する自己免疫応答が生じること、の4点が明らかとなった。本研究結果により、強皮症の臓器選択性(皮膚・食道・肺)、および自己免疫の発症起源として、上皮細胞におけるFli1の発現低下が深く関与している可能性が示唆された。 B細胞に関しては、昨年度までの解析でFli1欠失B細胞ではBAFF受容体の発現亢進、CD22の発現低下、IL-6の発現亢進があることを見出していたが、今年度行った解析により、B細胞が産生するIL-6が直接血管内皮細胞に作用に、血管内皮細胞において血管新生関連シグナルが活性化されて強皮症に類似した血管の構造異常が出現すること、および血管内皮細胞において細胞接着分子の発現を変化させ、皮膚と肺においてTh17優位な細胞浸潤が生じ、臓器線維化が誘導されることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な細胞特異的なFli1欠失マウスを作製して解析を進めているが、上皮細胞特異的Fli1欠失マウスについては研究成果を論文発表し、B細胞特異的Fli1欠失マウスの解析結果についてはInternational Workshop on Scleroderma Researchの招待講演において発表した。他の細胞についても解析が進んでおり、概ね計画通りに研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄系細胞、制御性T細胞、gamma delta T細胞、脂肪細胞において特異的にFli1を欠失させたマウスについて、全身性強皮症の主要3病態(線維化、血管障害、免疫異常)がどの程度再現されるか、検討を進める。B細胞特異的Fli1欠失マウスについては、抗IL-6受容体抗体の治療効果に関する検討も進める。
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[Presentation] Fli1 deficiency promotes CXCL13 expression from macrophages, contributing to the development of systemic sclerosis.2017
Author(s)
Taniguchi T, Asano Y, Yamashita T, Nakamura K, Saigusa R, Ichimura Y, Takahashi T, Toyama T, Yoshizaki A, Sato S.
Organizer
47th Annual ESDR Meeting 2017
Int'l Joint Research