2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of niche factors for melanocyte stem cells
Project/Area Number |
16H05367
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
國貞 隆弘 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30205108)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 明 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (10242728)
青木 仁美 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10550361)
本橋 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40334932)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 色素細胞幹細胞 / 毛包ケラチノサイト幹細胞 / 幹細胞ニッシェ / プロテオーム |
Outline of Annual Research Achievements |
X線照射後のケラチノサイトで発現が低下する遺伝子をDNAアレーとプロテオーム解析の結果から探索し,MSCニッシェ因子の候補遺伝子として20種リストアップしている。 これらの遺伝子産物がMSCのニッシェの不可欠な成分であることを,候補遺伝子の選択的破壊による 白毛形成の促進やMSCの試験管内分化能の測定により検証した結果、HMBG2遺伝子を新規色素細胞幹細胞ニッシェ因子の候補とした。本年度作成したHMGB2ノックアウトマウスは精子形成能力が低下しているので、十分な数のノックアウトホモ個体を得るのが困難な状況ではあるが、飼育条件を工夫して十分な数を確保した。 その結果、通常の飼育環境下では長期間飼育しても野生型に比較しての白毛の増加は認められなかったが、5GyのX線照射により、同量を照射した野生型マウスよりも白毛化が促進されることを確認した。また、実際に放射線照射後のHMGB2ノックアウトマウスの表皮の免疫染色により、ケラチノサイトのDNA損傷のマーカーであるγH2Xが増加していること等を確認した。HMGB2は類似遺伝子であるHMGB1の機能から、細胞の抗酸化作用を担うことが予想されるので、毛包ケラチノサイトの色素細胞幹細胞のニッシェ機能は放射線による細胞の酸化状態が破綻した結果であることが予想される。現在、様々な条件下で統計的に確実に白毛化が促進されることを確認し、HMGB2とニッシェ機能の因果関係を調べている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線照射後のケラチノサイトで発現が低下する遺伝子のプロテーオム解析から、毛包ケラチノサイト幹細胞に発現する新規の毛包色素細胞幹細胞のニッシェ因子として、HMGB2を同定した。この遺伝子は細胞の抗酸化作用を担うことが予想され(類似遺伝子のHMGB1は表皮ででの発現量は低いが同様の作用が確認されている)、放射線照射後のケラチノサイト幹細胞の、色素細胞幹細胞のニッシェとしての回復がHMGB2の抗酸化作用に依存していることが示されたことで、幹細胞のニッシェ機能の新たな面を研究する手がかりになると考えている。他のニッシェ因子に関しては、今の所表現系を確認できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
HMGB2遺伝子の白毛化抑制作用がHMGB2ノックアウトマウスを用いて確実に証明された場合、HMGB2遺伝子の機能を調べるために、 培養細胞のHMGB2の合成をsiRNAを用いて阻害する。まず、HMGB2が様々なストレス反応に関与することが予想されているので 、ミトコンドリア状態や細胞反応性酸素種の産生などのストレス反応の変化を測定する。 HMGB2遺伝子が受精卵から神経堤細胞を経由してMSC,色素細胞に至までの発生過程に不可欠な遺伝子である場合(Kitlのように発生中の色素細胞の分化増殖因子でありかつ毛包MSCのニッシェ因子である場合もあり得る。その遺伝子のケラチノサイトでの発現がX線照射により減弱する可能性も否定できない),MSCにとって重要な遺伝子であることは明らかだがニッシェ因子と は区別する必要がある。このような性質の遺伝子であっても,発生段階で色素細胞が失われるため表現型はニッシェ因子と同様に白毛を呈する。これを確かめるため,HMGB2遺伝子の条件付き機能喪失マウスを作成する(詳細な作成手順は申請書の図4参照) 。このマウスではケラチノサイト特異的に両アレルのHMGB2欠損が誘導されることになり,これで白毛化すれば確実にニッシェ因子といえる。
|
Research Products
(6 results)