2016 Fiscal Year Annual Research Report
人工受容体DREADDによる恐怖記憶の制御機構の解明
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16H05371
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉岡 充弘 北海道大学, 医学研究科, 教授 (40182729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 剛 北海道大学, 医学研究科, 准教授 (60312360)
吉田 隆行 北海道大学, 医学研究科, 助教 (60374229)
大村 優 北海道大学, 医学研究科, 助教 (80597659)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は行動薬理学的手法により、恐怖記憶の想起・消去に関与するセロトニン受容体を推定し、その詳細なシグナル伝達メカニズムについて電気生理学的手法で明らかにすることに取り組んだ。海馬には14 種類のセロトニン受容体のうち、ほぼ全てが発現している(Tanaka et al. 2012)。そのうち不安・恐怖や記憶・学習に関与すると推定されている8種類の受容体(5-HT1A, 2A, 2C, 3, 4, 5A, 6 and 7)について、それぞれの拮抗薬の海馬局所投与を行い、恐怖記憶の想起・消去に関与するセロトニン受容体を推定した。その結果、腹側海馬の5-HT7受容体が恐怖記憶の想起に関与することが見出された。また、腹側海馬の5-HT2C受容体が消去学習を促進している可能性が示された。さらに5-HT7受容体の機能をパッチクランプ法によって追究し、腹側海馬CA3領域の錐体細胞に発現する5-HT7受容体を刺激することでhyperpolarization-activated cyclic nucleotide-gated (HCN) channelsの機能が亢進し、入力に対する感度が上昇する(反応しやすくなる)ことが見出された。また、この感度が恐怖条件付けによっても上昇することが見出されたことから、恐怖体験が海馬の入力応答感度を5-HT7受容体を介して上昇させ、その後の関連刺激に対する応答を過敏にしていることが推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記したとおり、当該年度の研究計画を全て遂行済みである。しかし計画を前倒しできるほど進んでいるわけではないことから、「おおむね順調」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで特に問題なく進行しているため、当初の予定通りの計画を進めて行く。つまり、5-HT2C受容体ノックアウトマウスを入手して前年度の結果を追試することと、人工受容体を海馬CA3領域に発現させる手法の確立を進める。
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Research Products
(6 results)