2017 Fiscal Year Annual Research Report
Genetic and environmental interactions that determine sleep and circadian deterioration with advancing age
Project/Area Number |
16H05381
|
Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
三島 和夫 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神生理研究部, 部長 (40239223)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 睡眠 / 生体リズム / メチル化 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、睡眠の質的量的低下や内的脱同調などの睡眠・生体リズム調節障害が高齢者の認知機能や気分調節に及ぼす影響を精密に評価し、その罹患脆弱性や個人差が生じる生理・分子的基盤を遺伝要因と環境要因の相互作用の視点から明らかにする。また、睡眠・生体リズムを効果的に調整するための生活習慣の確立とその奏功メカニズム、高齢者の頑健な睡眠維持が健康長寿に資する生理的意義を明らかにする。本年度は、若年健常者において睡眠・生体リズム調節機能に関わるメチル化領域を同定するため、20代健常男性10名中4人(平均年齢23歳)の末梢血由来DNAを用いて検出された865,848~866,118箇所のメチル化サイトの解析を進めた。高年健常被験者を対象に睡眠・生体リズム指標と連動して日内変動を示すゲノムメチル化部位を調べるため、60歳以上の健常男性6名(平均年齢66.5歳)をリクルートし、非利き腕に取り付けたアクチグラフを用いて在宅での睡眠状態を調査した。各被験者の平均入眠時刻を起点として睡眠覚醒時刻、食事、照度、温湿度などのマスキング要因を統制した隔離実験室内にて、48時間にわたり睡眠(2夜のポリグラフ検査)および生体リズム指標(低照度下メラトニン分泌立ち上がり時刻)の測定ならびに4時間おきに8ポイント末梢血を採取し、メチル化タイピングを行うため各被験者の血液サンプルからゲノムDNAを抽出した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
若年群、加齢群でのゲノムサンプリングが終了し、メチル化解析に着手できた
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、高年者を対象として85万以上のマーカーを搭載するInfinium MethylationEPIC BeadChip キットを用いてマイクロアレイシステムによるゲノム全体のメチル化タイピングを行い、睡眠・生体リズム調節機能の脆弱性(睡眠の質的量的低下、内的脱同調、生体リズム位相の顕著な日間変動)に関わるメチル化領域を同定する。さらに、前年度に行った若年者のメチル化タイピングの結果と照らし合わせ、睡眠・生体リズム調節に関わる主要な遺伝子群とそのプロモーター領域におけるエピゲノム機能の変化を測定して生物時計および睡眠恒常性機能の加齢変化に連動して生じるエピゲノム制御の変化を同定する。これらのエピゲノム解析結果と合わせて、高齢者の睡眠表現型への寄与度、環境的要因との相互作用を解明する。また、高年者を対象としたリズム同調作用が証明されている介入法(スケジュール化された高照度光照射、メラトニン服用、運動負荷)を実施するための準備に着手し倫理委員会への申請を行う。
|
Research Products
(3 results)