2016 Fiscal Year Annual Research Report
免疫系ヒト化マウスを用いた癌免疫回避機構解明と次世代遺伝子ワクチンによる克服戦略
Project/Area Number |
16H05402
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中野 賢二 九州大学, 先端融合医療レドックスナビ研究拠点, 教授 (00315061)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 浩一 名城大学, 薬学部, 教授 (00308941)
山田 健人 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60230463)
岡田 誠治 熊本大学, エイズ学研究センター, 教授 (50282455)
浅野 竜太郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323103)
崔 林 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30717822)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 遺伝子ワクチン / 免疫学 / 癌 / 免疫チェックポイント / 二重活性化抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍抗原特異的な拒絶免疫を誘導する高分子ミセル内包遺伝子ワクチンのプラットフォーム構築に成功し、免疫系ヒト化担癌マウスを用いてヒト免疫細胞とヒト腫瘍の免疫応答を検討できる腫瘍免疫解析モデルを樹立しつつあります。近年、免疫チェックポイント分子PD1/PD-L1に対する抗体の肺癌や悪性黒色腫に対する抗腫瘍効果が報告されましたが、我々は類似の免疫チェックポイント分子の機能を制御するための抗体や核酸分子の基礎検討を終えています。 本研究では、難治とされる膵・胆道癌患者検体における免疫チェックポイント分子の臨床・病理学的な検討を行い、免疫系ヒト化担癌マウスにおいて抗体や遺伝子・核酸導入により膵・胆道癌の免疫チェックポイント分子の機能を修飾してヒト免疫エフェクター細胞の免疫応答への影響を検討し、癌の免疫抑制・逃避機構の解明を進め、克服できる新しい遺伝子ワクチン免疫療法の開発に繋げます。加えて、高分子ミセル内包遺伝子治療薬を簡便性に優れる経気道吸入薬とするためにドライパウダー製剤化する方法を検討し、臨床応用に向けての基盤の確立を目指します。 昨年度は、免疫系ヒト化担癌マウスの作成条件に関して、胆道癌TFK-1の移植条件の最適化を終えた。免疫チェックポイント分子の組織免疫染色条件も確立した。遺伝子ワクチンの構築に関しては、腫瘍抗原SART3遺伝子+アジュバント遺伝子(GM-CSF+CD40L)から成る遺伝子ワクチンの構築、及び免疫チェックポイント分子に対する二重特異性抗体scFV遺伝子の構築を終えている。臨床応用を見据えて吸入ワクチン製剤を作成する為に、ドライパウダー化に関しては、ルシフェラーゼ遺伝子内包高分子ミセルのドライパウダーの作成に成功しており、次年度に動物モデルにおける発現効率を検討する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目標の達成に必要な実験条件・モデルの確立に下記の如く成功し、おおむね順調に進展していると評価した。 1.免疫系ヒト化担癌動物モデルの作成条件を確立した。 2.免疫チェックポイント分子に関する免疫染色条件を確立した。 3.免疫チェックポイント分子に対する二重特異性抗体scFv遺伝子の構築に成功した。 4.高分子ミセル搭載遺伝子のドライパウダー化の条件を確立した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.昨年度は免疫系ヒト化担癌マウスの作成条件を確立した。胆道癌TFK-1の移植条件の最適化を終えたが、今年度は種々の癌種での検討を進める。 2.昨年度は免疫チェックポイント分子の免疫染色条件を確立した。今年度は患者膵癌組織から切片を作成し、ABC法にてPD-L1/ LAG3/ TIM3/ 腫瘍抗原の免疫染色を実施する。 3.昨年度は腫瘍抗原遺伝子+GMCSF+CD40Lアジュバント遺伝子から成る遺伝子ワクチン、および免疫チェックポイント分子に対する抗体分子から成る二重特異性抗体scFv遺伝子のConstructの作成を終えた。今年度は、上記免疫系ヒト化担癌マウスにおいて高分子ミセルに遺伝子ワクチンと二重特異性抗体scFv遺伝子を一緒に内包して投与し、免疫チェックポイント抗体遺伝子療法の併用効果を検討する。 評価項目としては、①腫瘍サイズ、②テトラマーアッセイ、CTLアッセイによる抗原特異的な拒絶免疫の誘導の有無、③腫瘍組織における免疫エフェクター細胞の集積の有無とケモカイン発現、④脾臓・リンパ節におけるサイトカイン・ケモカイン発現解析 4.昨年度は高分子ミセル内包遺伝子の吸入による導入効率を評価する為に、ルシフェラーゼ遺伝子内包高分子ミセルのドライパウダーを作成した。今年度は動物モデルにおいて局所投与・吸入投与による遺伝子導入効率を検討する。
|