2016 Fiscal Year Annual Research Report
肝疾患モデルブタを用いたiPS肝臓原基移植による新規治療法の開発
Project/Area Number |
16H05405
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
村田 聡一郎 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (40436275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武部 貴則 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20612625)
長嶋 比呂志 明治大学, 農学部, 専任教授 (50318664)
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医学 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 動物 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は胎児期の肝臓の発生過程を模倣してiPS細胞を用いた肝臓原基(肝芽)を作製し、移植による肝疾患治療を目指している。ブタは前臨床試験のモデル動物として臨床と同じ手技による治療効果の検討を行うことが可能な有用なモデル動物である。本研究ではブタ胎児肝組織より採取した胎児肝細胞を3次元培養してブタ肝芽を作製し、肝臓に安全に移植する手技の確立と治療効果検討を目的とする。本年度は以下の検討を行った。①ブタ肝芽作製条件の検討:ブタは胎生114日程度で出生するが、何日齢のブタ胎児肝組織から肝芽を作製できるかは不明である。今年度は胎生30日のブタ胎児肝組織を用いて三次元培養を行い、ブタ肝芽を作製した。肝芽1個あたりの細胞数、培養期間による肝芽径の変化を測定した。また肝芽の培養期間によるアルブミンやHNF4などの肝臓関連遺伝子の変化やアンモニア代謝能を測定し、移植に適した肝芽を検討した。 ②ブタ肝芽移植:クサビラオレンジ陽性のブタ胎児肝組織を用いた肝芽を製造し、野生型のブタの門脈経由で肝臓内へ移植を行った。1週間の生存確認後、組織学的解析を行った。その結果15万個/kg程度肝芽を移植しても生存には影響せず、肝芽の肝臓内への生着が確認された。 ③ガラス化法による肝芽凍結保存法の開発:胎児肝組織より作製した肝芽をガラス化法とDMSOを用いた緩慢凍結法にて凍結保存を行ったところ、ガラス化保存がより肝芽の生存率が高いことが明らかになった。ガラス化によって凍結保存された肝芽は免疫不全動物に移植して生着することが確認され、今後の実験にも使用可能なことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究実施計画である①ブタ肝芽作製条件の検討、②ブタ肝芽移植条件の検討、③ガラス化法による肝芽凍結保存法の検討の3つの項目について、当初の予定通りの研究成果を達成したため、おおむね順調に進展していると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はブタ肝芽を安全に移植するための適切な免疫抑制剤の選択、経門脈的肝芽移植の安全性の更なる検討を行う。その後ブタ肝芽による疾患モデルブタの治療効果検討や、ヒトiPS細胞由来肝芽を免疫抑制剤使用下にブタに移植することも行っていきたいと考えている。
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