2016 Fiscal Year Annual Research Report
膵島の生体内リプログラミング技術を用いた糖尿病の新規治療法の開発
Project/Area Number |
16H05407
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山田 高嗣 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20316061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 剛 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (40526810)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 再生医療 / 糖尿病 / リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、膵島の発生に関与する3つの遺伝子(Ngn3、Pdx1、Mafa)を糖尿病マウスの膵臓に直接注射して、膵臓内で新たに膵島をリプログラムすることで糖尿病を治療することに成功した実績から、膵島の生体内リプログラミング技術の臨床応用の実現を目指して、より安全で低侵襲なアプローチが可能な臓器として、豊富な細胞数と高い細胞増殖能や 再生能力をもつ皮膚、皮下脂肪、筋肉などの体表組織に着目し、3つの遺伝子を直接注射することにより生体内で新たに膵島をリプログラミングして糖尿病を治療するという次世代の臓器再生医療を実現することを目的に計画した。初年度は、インスリンプロモーターの下流にGFP遺伝子を組み込んだMIP-GFPトランスジェニックマウスから採取した細胞を用いて、in vitroで3つの遺伝子によりGFP陽性のインスリン産生細胞がリプログラムされることを明らかにすることを目的に研究を開始した。まず、開腹下にMIP-GFPトランスジェニックマウスの膵臓を実体顕微鏡で観察すると、膵島内のβ 細胞が緑色のGFP蛍光細胞の集合体として多数検出できたことから、β 細胞のリプログラミングは GFP 蛍光強度にて評価可能であることを確認した。次に、MIP-GFPトランスジェニックマウスの皮膚線維芽細胞、皮下脂肪細胞、筋芽細胞の樹立を試みたところ、脂肪細胞(脂肪由来幹細胞)及び筋芽細胞の初代培養細胞の樹立が困難であった。また、初年度計画していた、膵外分泌細胞の培養及びベクターの作製と遺伝子導入については、現時点で研究の実施に至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の初年度は、インスリンプロモーターの下流にGFP遺伝子を組み込んだMIP-GFPトランスジェニックマウスを用いて、皮膚線維芽細胞、皮下脂肪細胞、筋芽細胞を樹立して、in vitroで3つの遺伝子によりGFP陽性のインスリン産生細胞がリプログラムされることを明らかにすることを目的に開始した。しかし、当初予期していなかったこととして、まずMIP-GFPトランスジェニックマウスの繁殖の過程で、ホモとホモを掛け合わせた場合、ワイルドタイプのマウスに比べて、妊娠率及び出産数が極めて低かった事が、実験の遅れに影響した。また、脂肪細胞(脂肪由来幹細胞)及び筋芽細胞の初代培養細胞の樹立の困難さも、実験計画の時点では予期していなかったことで、本研究の進捗に影響を及ぼした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策としては、MIP-GFPトランスジェニックマウスの繁殖方法について、ホモとワイルドタイプを掛け合わせることにより、出産率及び出産数の向上を目指す。また、in vitroにおいて、脂肪細胞(脂肪由来幹細胞)及び筋芽細胞の初代培養細胞の樹立方法を改善する一方で、in vitroの実験は皮膚線維芽細胞に焦点を絞って行うことにより研究を推進したいと考えている。
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