2016 Fiscal Year Annual Research Report
適応型信号処理法を用いた大動脈瘤反射波による大動脈瘤の位置性状推定手法の開発
Project/Area Number |
16H05421
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊輔 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (20400244)
早津 幸弘 東北大学, 大学病院, 助教 (50747433)
佐々木 康之輔 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50755642)
瀧 宏文 東北大学, 医工学研究科, 特任准教授 (40467460)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 動脈瘤 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤存在下の脈波波形変化を検出するため、複数の正常脈波波形を解析し、正常である脈波の特性を把握する必要がある。頸動脈波は駆出波と末梢反射波の2波から成ることが分かっている。本研究では、この理論を動脈波に応用し、駆出波、末梢反射波の波形理論モデルを確立する。この波形理論モデルから、駆出波、末梢反射波と雑音成分を完全に分離でき、動脈瘤の無い正常脈波を正確に判定可能となる。大腿動脈波は1波とみなせるため、脈波波形の周波数特性を解析し、脈波の波形理論モデルを構築する。その際、頸動脈波で得られた駆出波、末梢反射波の波形理論モデルと比較し、構築した大腿動脈波モデルの妥当性を評価する。次に、大動脈瘤の位置、性状を推定するためには、大動脈瘤によって生じる大動脈瘤反射波を分離・同定する必要がある。各大動脈瘤モデルで計測された末梢動脈脈波波形から駆出波、末梢反射波の相関を抑圧し2波の分離度を向上させ、再帰的処理を用いて駆出波、末梢反射波の分離・同定を行う。分離後の脈波の残差は大動脈瘤反射波と雑音成分から成ると考えられるが、駆出波ならびに末梢反射波の波形理論モデルを参考とし、脈波の残差を大動脈瘤反射波と雑音成分に分離、大動脈瘤反射波を抽出検出可能とする理論波形モデルを構築する。大動脈瘤モデルとして28年度は、家畜ブタを用い嚢状瘤モデルを作成し、評価する予定であった。しかし、健常者、動脈瘤患者を対象とした計測結果を解析すると、超音波のプローベが定位置に固定できないことによる、波形の乱れが生じ、正確なデータを得ることが出来なかった。また、実際にブタの頸動脈にプローベを当てると脂肪層が深いため良好な波形を得ることが出来なかった。切開し左頸動脈を露出した環境下で計測すると、物理的刺激による頸動脈のSpasmが生じ、脈波計測が不可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、ブタの下行大動脈を人工血管で作成した動脈瘤モデルに置換し波形解析を行う予定であった。まず、健常者データを収集すべく、健常者(当科医局員、学生)を対象に頸動脈脈波の計測、解析を行った。しかし、実際に解析してみると、超音波のプローベが僅かに幹部から移動することや、被検者の呼吸性変動による僅かな変動が、波形に及ぼす影響があり、良好なデータを得ることが出来なかった。そのずれは、0.5mm程度のものでも計測結果には大きく影響するようで、現在の計測方法では限界がある。やはり、検査者が被検者の左頸部に弔意音波プローベを当てて計測するという検査方法上、0.5mmのずれも生じないように計測を行うのは不可能である。検査方法ではなく、プローベ自体の改良が必要であると考えている。また、ブタによる実験を行うにあたり、実際にブタの血管に超音波プローベを当て、波形を計測できるか検討してみた。先に記載したように、皮膚にプローベを当てると厚い脂肪層のため計測ができなかった。さらに、皮膚切開を行い、左頸動脈に直にプローベを当てたが動脈が物理的刺激によってSpasmを起こしたため計測できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まずはプローベの改良である。現在のプローベでは正確な脈波をとらえることが出来ておらず、解析、脈波モデルの構築ができない状況である。プローベだけでなく、検査者、被検者に生じる、不可避なずれをキャンセルできるような解析プログラムの改良も必要である。ブタを用いた実験に関しては、超音波でデータを解析するのは非常に困難であると考えられた。ブタに変わり、イヌでの実験モデル作成を検討している。実際にビーグル犬の頸動脈に直にプローベを当てても、ブタで生じるようなSpasmを生じることがないことは、他の実験で経験している。問題は、ビーグル犬の下行大動脈に見合うサイズの動脈瘤モデルを準備できるかという事である。ビーグル犬の下行大動脈は直径8mmから10mm程度であり、ブタで使用を予定していた動脈瘤モデルは使用できない。こちらに関しては今後検討していく必要がある。
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