2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the regulation of inflammation in the field of cardiovascular surgery using human iPS cell-derived mesenchymal stem cells
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16H05424
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 和裕 京都大学, 医学研究科, 助教 (50464227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南方 謙二 京都大学, 医学研究科, 講師 (60539675) [Withdrawn]
升本 英利 京都大学, 医学研究科, 助教 (70645754)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心筋疾患外科学 / ヒトiPS細胞 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒトiPS細胞由来間葉系幹細胞(MSC)の抗炎症性・免疫寛容性による、心臓血管外科領域における炎症性合併症の軽減を目指すものである。平成28年度は下記の2項目において研究実績を示すことができた。
1.間葉系幹細胞(MSC)のストック作成技術の開発について:我々は、すでに連携研究者の山下の協力によりヒトiPS細胞からのMSC様細胞を分化誘導することに成功しているが、その利用に向けた細胞保存技術の検討を行った。今回MSCの細胞表面マーカの特徴を有する細胞について、幹細胞用細胞保存液を用い、プログラムフリーズ法で凍結保存した。その後、融解してそのviabilityの評価を行ったところ、81%の生存率を確認することができた。今後、この結果をさらに向上させることにより、我々が分化誘導するMSCを細胞移植用のストックとして活用していく予定である。
2.MSCのラットの人工心肺モデルにおける抗炎症効果について:我々は、ラット人工心肺モデルにおけるヒト iPS細胞由来MSC全身投与による炎症反応抑制効果を確立する前段階として、臨床的にも使用されている卵膜由来MSCを用いての炎症反応抑制効果をラットの人工心肺モデルにおいて検討した(Taki et al. J Thorac Cardiovasc Surg 2016)。その結果、ラットの人工心肺モデルにおいて、MSC投与群は、control群に比べて、明らかに急性肺障害が抑えられ、炎症性サイトカイン産生の低下が確認された。これによりMSCによる人工心肺使用下の全身炎症に対しての抗炎症効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①iPS細胞由来MSCのストック作成に向けた検討を進めることができ、②小動物を用いたMSCの効果の検討を行うことができた。これらはヒトiPS細胞由来MSCの臨床応用に向けた基盤的な知見となる成果であり、本研究における一定の進展を示したと言える。一方、③iPS細胞由来MSCを用いた抗炎症・臓器保護効果のメカニズム解析は、現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、①iPS細胞由来MSCのストック作成の技術基盤を完成させ、実際に利用可能なストックを作成していくとともに、②小動物を用いたiPS細胞由来MSCの効果の確認を行い、③メカニズム解析についても進めていく予定である。さらに、④ラット腹部大動脈瘤モデル・人工血管感染モデルなどを用いた、広範囲な心臓血管外科領域における炎症性合併症に対するヒトiPS細胞由来MSCの治療効果を検討してゆく予定である。
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