2017 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージ機能の選択的制御による新たな大動脈瘤退縮治療法の開発
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16H05425
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉村 耕一 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授(特命) (00322248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 恭子 (今中恭子) 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (00242967)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大動脈瘤 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈瘤の主病態は、浸潤・集積したマクロファージによる炎症増幅と組織破壊である。マクロファージ抑制により瘤の炎症病態を是正することができれば、瘤壁組織の退縮治癒を促す可能性は高い。しかし、免疫抑制・感染症が一方で懸念される。研究代表者は、炎症増幅と組織破壊に関わるマクロファージの病的機能のみを選択的に制御することを着想し、そのための標的分子としてfocal adhesion kinase(FAK、接着斑キナーゼ)に着目した。本研究の目的は、FAK が瘤壁マクロファージの病的機能異常を選択的に制御する分子機構を解明し、FAK を標的とする有効かつ安全な大動脈瘤退縮治療法を新たに創出することである。そのため、平成29年度に以下の計画を実施した。【計画Ⅱ. 瘤進展に関わるマクロファージの機能異常がFAK 活性依存性であることの実証】マウス腹腔由来の培養マクロファージにおいて、炎症性サイトカインTNF-alpha刺激によるFAK活性化、MCPとMMP-9の分泌亢進が、複数種の低分子FAK阻害剤あるいはFAK shRNAによるFAK阻害によって阻止された。【計画Ⅲ. 自然免疫に関わるマクロファージの正常機能がFAK 活性に依存しないことの実証】マイクロビーズを用いた貪食能アッセイの結果、マウス腹腔由来の培養マクロファージの貪食能は、複数種の低分子FAK阻害剤のいずれによっても抑制されなかった。 【計画Ⅳ. FAK 阻害が大動脈瘤に対する有用な予防・治療法であることの実証】塩化カルシウム局所刺激によるマウス大動脈瘤モデルを作成し、FAK阻害剤PF573228の予防的投与を行った結果、マウス大動脈瘤の形成がFAK阻害剤によって防止できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定した【計画Ⅱ】、【計画Ⅲ】と【計画Ⅳ】は、いずれも実施でき、ほぼ期待通りの結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、平成30年度に予定した【計画Ⅳ】(続き)を実施する。具体的には、FAK阻害薬物療法によって、マウス大動脈瘤モデルの退縮治癒が促進できることと、瘤組織における炎症系・基質分解系蛋白分泌の亢進およびマクロファージの滞留が是正できることを、実証する計画である。現在のところ、計画の変更を要するような問題点は見当たらない。
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Research Products
(3 results)