2018 Fiscal Year Annual Research Report
急性心腎症候群の早期腎不全治療を目的としたカテーテル式補助循環装置の実用化研究
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16H05429
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
住倉 博仁 東京電機大学, 理工学部, 助教 (20433998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
妙中 義之 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (00142183)
巽 英介 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 部長 (00216996)
大沼 健太郎 桐蔭横浜大学, 医用工学部, 講師 (50527992)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 補助循環装置 / 血液ポンプ / カテーテル / 急性腎不全 / 心不全治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性心腎症候群における急性腎不全に対し、機械的補助循環装置を用いた早期の流量補助による腎血行動態の安定化は、腎機能の保護による尿量の増加から心負荷の軽減につながり、急性心腎症候群の悪循環を断ち切る可能性を有している。本研究では、腎臓に対し早期に低侵襲にて直接能動的に流量補助を行うことで、急性心腎症候群における悪循環を断ち切り、心不全患者の心機能の維持や回復を促進可能なカテーテル式血液ポンプの開発を目的とした。本年度は、腎灌流用カテーテル式血液ポンプの流量制御法、および血液ポンプ形状の多目的最適化に関し基礎的な検討を行った。 (1)左右の腎臓に対し適切な流量を補助するための流量制御法について、in vitro実験による検討を行った。左右2箇所の流出口を軸方向に異なる高さに設けたケーシングに対して、インペラ位置が軸方向に異なる高さの実験用ポンプをそれぞれ試作し実験を行った。実験の結果、インペラを-1.5, 0.0, 1.5 mmと異なる位置にすることで、左流量0.54, 0.44, 0.37 L/min、右流量0.43, 0.57, 0.65 L/minと、左右の流量に差を生じさせることが可能であった。 (2)血液ポンプの性能向上を目的とし、数値流体解析と最適化アルゴリズムを応用した自動最適化システムを用いて、血液ポンプ形状の多目的最適化に関し検討を行った。血液ポンプのポンプ性能、効率、溶血性能を向上するために、目的関数を揚程と効率の最大化、および最大壁面せん断応力の最小化とした。最適化の結果、初期デザイン(揚程:17.3 mmHg、効率:11.6 %、最大壁面せん断応力:788.5 Pa)と比較し、最適デザインは揚程:68.3 mmHg、効率:29.3 %、最大壁面せん断応力:545.4 Paであり、性能の改善が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腎灌流用カテーテル式血液ポンプの流量制御法について、実験用ポンプを試作しin vitro実験による検討を行った。実験用ポンプにて左右の流量に差を生じさせることが可能であり、本流量制御法にて左右の腎臓に対し異なる流量補助が可能なことが示唆された。また、自動最適化システムを用いて血液ポンプ形状の多目的最適化について検討を行った。最適化により、ポンプ性能と効率が向上し、最大壁面せん断応力が低下した血液ポンプ形状を設計することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
腎灌流用カテーテル式血液ポンプの更なる性能の向上と小型化を目的とし、自動最適化システムを用いた血液ポンプ形状の多目的最適化について継続して検討を行う。また、最適化結果を基に実機を試作し、模擬循環回路を用いたポンプ性能試験、および溶血試験を実施する予定である。
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