2019 Fiscal Year Annual Research Report
ペリサイト機能に基づく脳梗塞後組織修復と神経機能回復誘導メカニズムの解明
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16H05439
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北園 孝成 九州大学, 医学研究院, 教授 (70284487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吾郷 哲朗 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30514202)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / ペリサイト / 組織修復 / 機能回復 / 創傷治癒 / アストロサイト / オリゴデンドロサイト / 単球・マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,脳梗塞における「創傷治癒(=梗塞壊死部の良好な線維性修復により良好な機能回復がもたらされる)」の概念確立を目指している.脳梗塞発生後,梗塞巣への血流再開の重要性はこれまで殆ど論じられてこなかったが,創傷治癒促進のための不可欠な応答であることを証明した.健常時軟膜吻合を介した側副血行が殆ど存在しないマウス系統を用いて,中大脳動脈(MCA)を60分以上閉塞させると,再灌流を行っても24時間後には永久閉塞と同等に灌流域全体の梗塞を生じた.しかし,閉塞を解除し早期血流再開を行うと,永久閉塞に比べ梗塞内部の微小血管ペリサイトが数多く残存することで,ペリサイト由来線維芽細胞による梗塞巣の線維性修復が良好に生じ,亜急性期以降の機能回復が良好となった.一方,MCA閉塞が持続した状態では,軟膜吻合による側副血行の早期発達が梗塞巣の線維性修復や機能回復に重要であった.吻合部動脈の発達には血液凝固因子・血小板由来因子や単球・マクロファージの局所浸潤が重要な役割を果たした.梗塞巣を充填するペリサイト由来細胞は豊富な神経栄養因子を分泌することで,梗塞周囲アストロサイトを活性化させた.両細胞の協調的な作用により梗塞周囲に存在するオリゴデンドロサイト前駆細胞のオリゴデンドロサイトへの分化・再髄鞘化応答が効率よく誘導され機能回復がもたらされた.脳室下帯から梗塞周囲へ動員される新生神経の程度は組織修復の是非により有意な影響を受けなかった.つまり,梗塞内部組織修復によりグリア細胞を介した梗塞周囲の神経ネットワーク再構築が促進され機能回復がもたらされると考えられた.また,ペリサイトは,単球・マクロファージの局所動員と貪食機能を促進し,近年機能回復にとって重要と考えられるようになった「梗塞内部における死細胞・ミエリンデブリスの除去」においても重要な役割を果たすことを明らかにした.
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(14 results)