2017 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ糖脂質機能解析を基盤とした関節疾患の病態解明と新規治療法の開発
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16H05444
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 倫政 北海道大学, 医学研究院, 教授 (30322803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高畑 雅彦 北海道大学, 大学病院, 講師 (40374368)
小野寺 智洋 北海道大学, 大学病院, 講師 (70547174)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 関節病学 / 糖脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜に存在するスフィンゴ糖脂質(glycosphingolipids、以下GSLs)は、効率的に細胞膜上のシグナル伝達を行うためのラフト(rafts)と呼ばれる微小領域を膜上に形成する。これにより、増殖、分化、活性化等の細胞機能を調節している。申請者は、軟骨細胞上のGSLs機能の低下が軟骨変性を惹起し、変形性関節症(osteoarthritis、以下OA)の病態に深く関与している可能性を示してきた。本研究の最終ゴールは、OA発症に関わる軟骨細胞上GSLsの分子基盤の解明と治療への応用を目指すことである。平成28年度の研究成果をもとに、平成29年度には以下の成果を得た。 1)各種のGSLs関連合成酵素遺伝子ノックアウトマウス(KOマウス)を用いてIL-1刺激に対する各GSLs分子のシグナル制御機能を解析した。得られた成果より、GSLs生合成経路の上流から下流に存在する主要な各GSLs分子が、OA発症に関わるIL-1シグナル制御機能を有することが明らかとなった。マウスOAモデルを用いた解析においては、より上流に存在するGSLs分子をKOする(軟骨細胞中のGSLs含有量をより減少させる)と重度のOAが発症することが明らかとなった。 2)軟骨細胞に対するメカニカル刺激に対し、GSLs分子はCaチャンネルを介して細胞内への刺激伝達を制御する機能を有することを証明した。 3)ヒト軟骨組織中のGSLs分子の網羅的構造解析の手法を確立し、実際の解析をスタートさせた。 4)OAに対するGSLs関連分子の関節内投与による治療効果を判定するためのウサギ疾患モデルを確立させ、投与実験をスタートさせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度から29年度にかけて計画していた各研究項目に対して、予定通り研究が遂行された。各項目ともに、期待された結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度までに行われた研究を継続する。最終年度であるH30年度には、得られた成果をもとに最も有意な軟骨代謝制御機能を有するGSLs分子とその関連合成酵素を決定する。決定した分子を動物OAモデルに投与(関節内投与を予定)することで、OA進行抑制効果を明らかにする。これら得られた成果より、その有効性と安全性を判定し新規治療法としての可能性を証明する。
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[Presentation] Depletion of Glycoshingolipids Induces the Excessive Response of Chondrocytes Under Mechanical Stress Condition2017
Author(s)
Matsubara S, Onodera T, Maeda E, Momma D, Matsuoka M, Baba R, Hontani K, Joutoku Z, Homan K, Ohashi T, Iwasaki N
Organizer
Orthopaedic Research Society 2018 Annual Meeting