2016 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞におけるRANKL逆シグナル経路とWntシグナル経路のクロストーク解析
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16H05445
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本間 雅 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60401072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80206523)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 骨代謝 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
RANKL逆シグナル経路は、Runx2の活性化をトリガーすることで骨芽細胞の初期分化を加速し、カップリング媒介に関与することを、申請者らが新規に見出した。一方、Wntシグナル経路は、骨芽細胞分化過程における重要性が示されているものの、その全体像は明らかとはなっていない。そこで本研究においては、生理的な骨芽細胞分化の各段階において骨芽細胞分化を制御しているWnt-Fzdの組み合わせを、網羅的なアッセイを行って同定し、その後、RANKL逆シグナルとどのようにクロストークして、骨芽細胞の分化過程全体を制御しているのか、その全体像の解明を目標としている。 初年度である平成28年度は、RANKL逆シグナル経路とのクロストーク解析を行う前段階として、骨芽細胞の各分化段階において、Wntシグナル経路の網羅的評価を行なった。マウス骨芽細胞様培養細胞株MC3T3-E1細胞を用い、384wellプレートに播種して必要期間の前培養を行い、各分化段階に達したMC3T3-E1細胞を用い、Wnt 19種(+Mock 1種)×Fzd 10種(+Mock 1種)×共受容体4種(+Mock 1種)×分化段階3種、総計3,300パターンの組み合わせに関して、アデノウィルス混合液を培地中に添加し、添加72hr時点で、TCF/LEF応答配列(古典的経路)、AP-1応答配列(PCP経路)、NFAT応答配列(Ca経路)、cAMP応答配列(PKA経路)の活性化をそれぞれ評価した。また、骨芽細胞分化指標の測定を行った。現在得られた結果を統合し、骨芽細胞分化に主要な影響を与えるシグナル分子及びシグナル経路の抽出を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Wntシグナル経路の下流シグナル経路の活性化パターンに関する包括的評価が終了し、概ね計画通りに検討が進捗している
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Strategy for Future Research Activity |
実際の骨芽細胞においては、内因性の遺伝子発現レベルは遺伝子間で大きく異なっており、また分化段階特異的に発現の変動が生じるケースもある。従って、生理的な条件下で骨芽細胞の分化制御においては、これら分子の内因性発現レベルと各組み合わせでのシグナル経路活性化能力の双方が表現型に影響してくると考えられる。MC3T3-E1細胞およびマウス頭蓋骨より単離した初代培養骨細胞を用い、石灰化誘導培地で培養を行って、経時的にtotal RNAを回収する。また、来年度以降にRANKL逆シグナル経路とWntシグナル経路のクロストークを解析する前段階として、RANKL逆シグナル刺激した場合のtotal RNA回収も行う。その後、得られたサンプルをトランスクリプトーム解析にかけることで、骨芽細胞分化の進行とともにWntシグナル経路関連分子群の発現量がどのように変動していくか、その経時変化プロファイルを取得する。この結果を、前年度のシグナル経路活性化能力を反映するデータと併せて解析することで、生理的な骨芽細胞分化に置いて主要な役割を果たすWntシグナル関連分子の候補を抽出する。次いで、候補となった遺伝子のmRNA発現を抑制するshRNAをデザインしてアデノウィルスベクターを構築し、石灰化誘導培地中で必要な期間の前培養を行ったMC3T3-E1細胞に感染させ、感染後72hr後に骨芽細胞の分化を反映する指標の測定を行うことで、生理的な骨芽細胞分化過程において、分化制御に中心的な役割を果たしている分子を同定する。
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