2017 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後の自己修復メカニズムに関わる因子の同定と新規治療法の確立
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16H05450
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 誠司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30448435)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / 反応性アストロサイト / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系は再性能に乏しく、一度損傷を受けると修復も再生もなされないと考えられて来たが、実際の臨床では不全麻痺の脊髄損傷であればかなりの運動機能回復が認められる。しかし、この機能回復メカニズムはほとんど明らかになっていない。本研究に於いては、マウス不全麻痺せき損モデルに於いて機能回復が認められる時期に脊髄に発現している全遺伝子の網羅的な解析を行い、自己修復メカニズムに関わる因子の同定を試みている。これまでに、転写因子であるIRF8(Interferon Regulatory Factor8)が運動機能回復時期に顕著に発現していることを見出し、さらにこのIRF8欠損マウスに於いては損傷後の組織修復並びに運動機能回復が著しく阻害されていることが明らかとなった。このマウスに於いては、浸潤したマクロファージの収束化が欠落しており、さらに反応性アストロサイトの移動能にも影響を与えていることが明らかとなった。また、IRF8のリガンドであるインターフェロンγとLPSの投与により、早期からIRF8を活性化可能であることを確認した。今後はIRF8がマクロファージの移動能に与える影響を解析するとともに、IRF8の活性化がせき損の病態に与える影響について解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
レーザーマイクロダイセクションやセルソーターを用いることにより、浸潤したマクロファージや反応性アストロサイトを選択的に採取し、発現遺伝子解析を行う系の確立に成功した。マクロファージにおけるIRF8が、補体C5aを介した経路により収束化することを明らかにし、さらに反応性アストロサイトがⅠ型コラーゲンとの相互作用により瘢痕形成アストロサイトへの変化することを解明した。また、β1インテグリン抗体を用いることによりグリア瘢痕形成が可逆的であることを見出し、報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
マクロファージの移動能にIRF8ならびに補体経路が関与してことが明らかとなったため、C5aの下流であるプリン受容体抗体を用いてマクロファージの収束実験を行う。マクロファージの移動能を変化させた際の、反応生アストロサイトの移動能や組織修復に与える影響を解明する。さらに、マクロファージや反応生アストロサイトの運動能を制御することが、脊髄損傷後の機能回復や組織修復に繫がる可能性があるかを検討する。
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Research Products
(13 results)