2017 Fiscal Year Annual Research Report
子宮内膜癌に対する抗サイクリンA分子標的薬開発:新たに同定した化合物の改良の試み
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16H05471
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
塩沢 丹里 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (20235493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅香 亮一 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (00623688) [Withdrawn]
鹿島 大靖 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70464089)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 婦人科腫瘍学 / 子宮内膜癌 / サイクリンA / 分子標的薬 / 創薬 / 抗腫瘍薬 / 抗癌剤感受性 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は子宮体癌の増殖機序を細胞周期調節因子の観点から検討したところ、細胞周期進行促進因子のひとつであるサイクリンA2の過剰発現が予後不良因子であることを見出した。この原因を検討したところ、単に細胞増殖を刺激するのみではなくシスプラチン等の抗癌剤に対する抵抗性の獲得にも関与していることを明らかにし、サイクリンA2が治療標的として好適である可能性を見出した。サイクリンA2を標的とする薬剤を開発するために、約1万種の低分子化合物ライブラリーをスクリーニングした結果、10-7Mで体癌細胞のサイクリンA2の転写と増殖を最大約90%抑制する分子量約300kDの化合物Xを見出した。しかし、この化合物Xは溶媒に難溶性であったため、この構造を一部改変し新たに化合物Shio-ID32を合成したところ、溶解度は著明に改善し、化合物Xの約10倍の活性を有することが判明した。次にShio-ID32の新規治療薬としての可能性を皮下に子宮体癌細胞を接種したヌードマウスを用いて局所注射および腹腔内投与で検討したところ、Shio-ID32は体癌のキードラッグであるシスプラチンとほぼ同等かそれ以上の抗腫瘍作用を示し、また副作用は軽度であった。この結果からShio-ID32が全く新規の抗癌剤としての可能性を持つことが示された。またShio-ID32の構造上の特徴からシステインが抗腫瘍作用の中和剤として使用できる可能性が示されたため、Shio-ID32にシステインを加えて体癌細胞に対する抗腫瘍作用を検討したところ、システインはShio-ID32の抗腫瘍作用を抑制したことから、システインが中和剤として使用できる可能性も示された。今後は細胞種を広げてShio-ID32の作用を評価するとともに、Shio-ID32の作用機序を検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物Xの構造改変にも成功しており、抗腫瘍効果も得られており、さらなる研究の推進が可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞種を広げてShio-ID32の作用を評価するとともに、Shio-ID32の作用機序を検討する予定である。また子宮内膜癌発がんマウスでの検討も計画している。今後、Shio-ID32のさらなる構造改変についても検討中である。
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