2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of interactions between cancer stem cells and their niche: Dual-targeted therapy in ovarian cancer patients
Project/Area Number |
16H05473
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
片渕 秀隆 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (90224451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高石 清美 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (00601303)
本原 剛志 熊本大学, 医学部附属病院, その他 (10457591)
坂口 勲 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (40448527)
田代 浩徳 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (70304996)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / 卵巣癌 / 卵巣表層上皮 / マクロファージ / 卵巣癌治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮性卵巣癌(卵巣癌)の早期診断は困難であり、その多くの症例では既に腹膜播種や遠隔転移を来した進行癌で診断される。また、初回治療が奏効し一旦寛解が得られた症例においても、その多くは抗癌剤耐性の癌細胞が出現し再発が引き起こされる。 癌の発生や浸潤・転移の過程においては、癌細胞と周囲の微小環境との相互作用が重要な役割を果たしている。近年、正常組織の幹細胞と同様に癌幹細胞においても微小環境ニッチが存在し、腫瘍の増殖や治療抵抗性に関与していることが示されている。卵巣癌の克服のためには、その特徴的な進展形式である腹膜播種病巣の形成における卵巣癌幹細胞および癌幹細胞ニッチの病態解明が重要であると考えられるが、それらの分子機構については未だ不明な点が多い。 われわれの研究室ではこれまで、卵巣癌や子宮内膜症とマクロファージとの相互作用に関する病態解明をすすめてきた。さらに、近年の卵巣癌幹細胞に関する研究から、卵巣癌組織において、少数の細胞集団である癌幹細胞が極めて重要な役割を担っていることが見出された。今回われわれは、卵巣癌における癌幹細胞ニッチを特定し、それらの分子機構を明らかにすることを目的としている。さらに、卵巣癌幹細胞と微小環境ニッチとの細胞間相互作用についての解析を行うことで、卵巣癌幹細胞および癌幹細胞ニッチを治療標的とした卵巣癌に対する新たな治療戦略を開発することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに行った詳細な解析の結果から、CD44 variant陽性の卵巣癌細胞とマクロファージとの細胞間相互作用が、癌幹細胞に最適な微小環境の形成に関与していることが見出された。さらに、それぞれの細胞を用いた共培養実験からは、それらの細胞の相互作用によって形成される微小環境が抗癌剤治療抵抗性に関わっている可能性が示されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析において、CD44 variant陽性の卵巣癌幹細胞はマクロファージと細胞間相互作用を示すことで、腫瘍微小環境を形成していることが明らかにされた。今後は、腫瘍関連マクロファージとして機能するM2マクロファージを治療標的とすることで、卵巣癌幹細胞として機能する細胞集団に対してどのような病態の変化が起こるのか、ならびに抗癌剤治療抵抗性の改善がみられるかどうかについての詳細な解析を計画している。
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