2016 Fiscal Year Annual Research Report
| Project/Area Number |
16H05476
|
|---|
| Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
|---|
Principal Investigator |
河村 和弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10344756)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 可野 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (00511073)
川島 一公 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究員 (40633946)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 生殖医学 / 早発閉経 / 卵巣機能不全 / 不妊治療 / 卵胞活性化 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
早発閉経や高齢による卵巣機能不全の不妊患者では、卵胞が発育せず自らの卵子を用いた妊娠は非常に困難である。申請者らは、PI3Kシグナル活性化とHippoシグナル抑制による卵胞活性化法を開発・臨床応用し、摘出した卵巣を体外で活性化した後、自家移植することで早発閉経患者の妊娠・出産に成功した。本研究は、現行の卵胞活性化法の臨床成績を向上しつつ、卵胞活性化法の適応を拡大するための新たな治療法の開発を試み、これらの患者が、自らの卵子で妊娠可能な治療法を確立することが目的である。本研究では以下の研究項目を計画している。
① 残存初期卵胞数を反映する新規血清マーカーの同定と測定系の開発、
② 移植卵巣の生存性の改善、
③ 卵巣移植カテーテルの開発、
④ Hippoシグナル抑制のみによる新たな卵胞活性化法の開発
本年度は、このうち③ 卵巣移植カテーテルの開発を完了した。卵巣移植用カテーテルをデザインし、プロトタイプを作製した。北里メディカルと秘密保持契約を締結し、北里メディカルより特許出願の上、すでに認可を受けて販売を開始している。 ① 残存初期卵胞数を反映する新規血清マーカーの同定と測定系の開発については、初期卵胞が分泌する候補因子に対する市販のELISAを用いた測定を行ったが、感度に問題があり、現在は高親和性・高特異性の特異的モノクローナル抗体の作製を進めている。② 移植卵巣の生存性の改善、については、ある種のゲルで卵巣片を被包することで効果的な虚血防止が可能であることを見出したが、内因性のVEGF産生を誘導する新たな方法を着想し、その方法の優位性を確認している。④ Hippoシグナル抑制のみによる新たな卵胞活性化法の開発、については、臨床試験に対する倫理委員会の承認を受け、関連病院とともに被験者登録を開始した。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
② 移植卵巣の生存性の改善、③ 卵巣移植カテーテルの開発、については当初の計画以上に進展しており、移植卵巣の生存性の改善においては当初計画よりも優れた方法を考案して、試験を進めている。また、卵巣移植カテーテルの開発については、当初はデバイスの考案、非臨床POC取得を行い特許申請までを予定していたが、すでに認可販売まで至っている。④ Hippoシグナル抑制のみによる新たな卵胞活性化法の開発に関しては、順調に臨床試験を開始し、被験者の登録を進めている。しかし、① 残存初期卵胞数を反映する新規血清マーカーの同定と測定系の開発は、既存の市販抗体を用いたアッセイでは感度が悪く、新たに高親和性・高特異性の特異的モノクローナル抗体を作製しており、やや研究が遅れている。そのため、研究計画全体においては、おおむね順調に進展していると考える。
|
| Strategy for Future Research Activity |
② 移植卵巣の生存性の改善、については当初計画よりも優れた血管新生誘導法が考案されたため、追加のex vivo, in vivo試験を行い、その方法の優位性を評価する予定である。また、① 残存初期卵胞数を反映する新規血清マーカーの同定と測定系の開発については、新たな抗体を用いて試験を進める。さらに従来の発色法よりも高感度な化学発光法を用いたシグナル検出法や、２次抗体に核酸のタグをつけ、それをPCR反応で増幅して微弱なシグナルを検出するimmuno PCRを行う。④ Hippoシグナル抑制のみによる新たな卵胞活性化法の開発に関しては、予定通り被験者の登録を進め、卵胞活性化法の効果を検証する。
|
