2017 Fiscal Year Annual Research Report
増殖制限型アデノウイルスベクターを用いた頭頸部癌に対する新たな治療法の開発
Project/Area Number |
16H05481
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
丹生 健一 神戸大学, 医学研究科, 教授 (20251283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大月 直樹 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (40343264)
上原 奈津美 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (40570502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 増殖制限型アデノウイルス / siRNA / 頭頸部癌 / MIDKINE / EGFR |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ数年の間に、頭頸部癌に対して、免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬など従来の抗がん剤と全く作用機序が異なる薬物療法が相次いで登場し、既存の治療法では長期生存が望めなかった進行癌に対して長期生存が期待できるようになってきた。しかし、その一方、これまでの化学療法薬ではみられなかった全身的な副作用が問題となっており、腫瘍特異的に効果を発揮して、全身的な副作用がない「安全で効果的な治療薬」の登場が望まれる。本研究では、これまでの我々のアデノウイルスベクターを用いた研究の成果をもとに、腫瘍特異的に抗腫瘍効果を発現するアデノウイルスベクターを用いた遺伝子治療の開発を目指して計画された。 腫瘍増殖因子に対するsiRNAを組み込んだ腫瘍特異的増殖制限型アデノウイルスベクターの開発MIDKINE は Heparin― binding growth factor の一種で多くの癌で高発現しているが、正常組織では発現がみられない。この 特性を活かして、MIDKINE プロモーターとウイルスの増殖に必要な E1A・E1B 遺伝子を組み込んだ制限増殖型ア デノウイルスを作成し、さらにこのウイルスに頭頸部扁平上皮癌に高発現している上皮成長因子受容体 EGFRに対する siRNAの 遺伝子を組み込んだ。MIDKINEを高発現している頭頸部扁平上皮癌培養細胞を用いて、その抗腫瘍効果をin vitroで検討し、本 ウイルスがMIDKIE を高発現する腫瘍細胞でのみ特異的に増殖して腫瘍を殺傷するとともに、EGFRの発現を抑制することにより 腫瘍の増殖を抑制する能力を併せ持つことをin vitroで確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的としているういウルセクターを作成し、頭頸部扁平上皮癌培養細胞を用いて、その抗腫瘍効果をin vitroで検討し、本 ウイルスがMIDKIE を高発現する腫瘍細胞でのみ特異的に増殖して腫瘍を殺傷するとともに、EGFRの発現を抑制することにより 腫瘍の増殖を抑制する能力を併せ持つことをin vitroで確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が作成した増殖制限型アデノウイルスベクターは、患者の体内にて腫瘍細胞でのみ特異的に増殖し て腫瘍溶解性に腫瘍細胞を殺傷するとともに、EGFRの発現を抑制することにより腫瘍の増殖や転移を抑制することが期待される 。本年度は引き続きin vivoレベルIn vivoレベルでの治療効果を検討する。更に、腫瘍特異的プロモータの探索 腫瘍特異的増殖制限型アデノウイルスベクターに最適なプロモーターの探索を目的とし、倫理委員会の承認を得て、昨年度より 頭頸部癌の手術症例を対象にマイクロRNAの収集を開始している。本年度はさらに症例を蓄積し、新たな腫瘍特異的プロモータ ーの同定を目指す。
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