2018 Fiscal Year Annual Research Report
緑内障視神経症の病態を断ち切る画期的な手術手技の確立
Project/Area Number |
16H05486
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
稲谷 大 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40335245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高村 佳弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00283193)
松村 健大 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (40529369)
三宅 誠司 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (50572765)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 外科 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障では、網膜神経節細胞の軸索である視神経の軸索流が途絶したあとで網膜神経節細胞の細胞死が起きることを研究代表者はin vivo imaging で明らかに した。本研究の目的は、緑内障視神経症の病態を断ち切ることによって、眼圧を下降させる新しい濾過手術手技を確立することで、篩状板変形の抑制→軸索流の 回復→網膜神経節細胞保護という神経保護治療を手術で達成することである。 5匹のカニクイザルを用いて、片眼に緑内障手術をおこない、手術後1年が経過した。サルは全身状態は良好であり、生存している。髄液の色調、タンパク濃度、比重、細胞数、pH、細菌培養、脳脊髄圧に関して、手術をおこなっていない同年齢のカニクイザルと比較しても、差はみとめられなかった。 TonoVetを用いた眼圧測定では、緑内障手術をおこなった眼と対側眼との比較において、手術眼に有意な眼圧下降が維持されていた。 光干渉断層撮影(OCT)にて、視神経乳頭の断層撮影をおこなったところ、手術をおこなったサル眼においては、視神経乳頭陥凹の拡大はみとめられず、篩状板の変形もみとめられなかった。摘出したサル眼の視神経乳頭の組織切片を作成し、HE染色で観察したところ、長期的にも手術による眼圧下降効果は機能していると考えられた。 また、長期経過において、眼内の有害事象として、硝子体出血が出現した個体があったが自然軽快した。網膜剥離や術後感染、白内障の進行をみとめた個体はなく、術式の安全性は高いと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
長期的な経過観察でも、眼圧下降が維持されていることが確認できた。一方で、硝子体出血をきたす個体が生じたが、一過性の有害事象であり、軽微なものと考えられる。また、軸索流との関連を検討する研究の進捗が遅れているが、手術手技は安定してきており、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
手術で得られた眼圧下降が軸索輸送に与える効果を検証する実験を推進していく必要がある。
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Research Products
(8 results)