2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H05491
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 有平 北海道大学, 医学研究院, 教授 (70271674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 洋志 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (00399924)
林 利彦 北海道大学, 歯学研究院, 准教授 (00432146)
舟山 恵美 北海道大学, 医学研究院, 講師 (10533630)
小山 明彦 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70374486)
村尾 尚規 北海道大学, 大学病院, 助教 (90706558)
大澤 昌之 北海道大学, 大学病院, 助教 (70625029)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンパ系再構築 / 血管柄付きリンパ節移植 / 遊離リンパ節移植 / 機能的リンパ移植法 / lymph node transfer |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、乳がん術後の上肢リンパ浮腫患者に対し、鼡径から腋窩への血管柄付きリンパ節移植(vascularized lymph node transfer, VLNT)を行い、浮腫の改善が認められたと報告されて以降、臨床報告が相次いでいる。移植リンパ節への血流がリンパ節の生着と機能の維持に重要とされるが、移植リンパ節への血流の有無により、その形態・機能を比較した報告は少なく、臨床応用に際しても、いまだ術式は標準化されていないのが現状である。 そこでマウスを用いて、移植リンパ節への血流の有無を異とするモデルを作製し、モデル間で移植リンパ節の形態・機能を比較することで、より効率的・機能的なリンパ組織移植法を検証することを目的とした。 前年度の研究結果を踏まえ、本年度はマウスVLNTモデルの作製法を手技的に確立し、術後リンパ流評価法を確立した。鼡径リンパ節に流入する浅腹壁動脈を含めた組織弁を有茎で挙上し、同側の膝窩リンパ節摘出部に移行させるモデルとした。鼡径リンパ節組織弁挙上後に、インドシアニングリーン(ICG)を静脈注射し、赤外線観察カメラシステムを用いて、鼡径リンパ節への血流を確認した。術後3、4週目にマウス後肢足蹠にICGを皮下注射し、下肢のリンパ流を経時的に評価した。術後4週目にマウス後肢足蹠にパテントブルー色素を皮下注射し、移植リンパ節への色素流入を観察した後、移植リンパ節および対側の鼡径・膝窩リンパ節を摘出し、その形態を組織学的に評価した。 術後3、4週目のICG蛍光リンパ管造影では、膝窩に点状蛍光像を認めた群と認めなかった群が存在し、それはパテントブルー色素による移植リンパ節の染色と一致した。移植リンパ節への輸入リンパ管再疎通により、移植リンパ節の形態が変化することを確認し、移植リンパ節の「機能」に影響を与える可能性を示唆する所見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ組織移植法として血流の有無を比較可能な動物モデルであるマウスVLNTモデルの作製法、術後リンパ流評価法を確立した。今後、血流の有無により、移植リンパ節の形態・機能を比較するための安定した動物モデル作製が可能となり、研究は概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究結果を踏まえ、1. 動静脈血管柄付きリンパ節移植モデル(血流あり)、2. 遊離リンパ節移植モデル(血流なし)を用いて、術式による移植リンパ節の輸入リンパ管再疎通の有無、移植リンパ節の形態、機能の比較検討を行う。血流の有無により、移植リンパ節の輸入リンパ管再疎通、形態、機能にどのような影響を与えるかを検証することで、より機能的なリンパ組織移植法を確立する。それぞれのモデルで免疫組織学的手法、遺伝子解析等の手法を用いて移植リンパ組織の形態、機能を比較検討する。
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Research Products
(1 results)