2016 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性心機能障害に対する細胞特異的ホーミングペプチドを用いた新規治療の確立
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16H05497
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
岡田 英志 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (30402176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 元三 朝日大学, 歯学部, 教授 (40283311)
岡本 遥 (池庄司) 岐阜大学, 医学部附属病院, 医員 (50585239)
鈴木 浩大 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80724583)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 敗血症性心筋障害 / 血管内皮障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、好中球のほとんど存在しない顆粒球コロニー刺激因子ノックアウト(G-CSFKO)マウスを用いて敗血症性心機能障害における好中球の関与メカニズムを検討し、さらにペプチドを用いた血管内皮障害部位特異的薬物送達による新規治療を確立することを目的とする。本年はG-CSFKOマウスを用いた敗血症性心機能障害に対する好中球の関与について明らかにすることである。 9-12週齢オスのG-CSFKO(n=18)にリポ多糖(LPS)を20mg/kg腹腔内注射し敗血症を作製。コントロールとして9-12週齢オスのC57BL6マウス(n=12)を用いた。LPS投与後48時間の生存率は、G-CSFKO(77.8%)でコントロール (8.3%)に比べ有意に改善を認め、トロポニンIはG-CSFKO(0.7±0.8mg/dL)でコントロール(11.9±6.4mg/dL)に比べ、有意に低かった。走査型ならびに透過型電子顕微鏡を用いた超微形態の観察では血管内皮障害はG-CSFKOで抑制されていた。また、健常血管内皮細胞上に血管内皮全体を覆うように存在する血管内皮グリコカリックスはLPS投与マウスにおいて剥離していることが確認され、この変化はG-CSFKOマウスにおいて抑制されていたことが確認できた。また、NE阻害薬(Sivelestat)を用いて同様の効果が得られるか検証した。上記コントロールと同様に作成した敗血症モデルマウス(n=14)に0.2mg/kgのNE阻害薬投与を行ったところ、生存率はコントロールと比較し有意に改善し(85.7%)、血管内皮障害は抑制されていた。 これら結果は敗血症により生じる心筋障害は、NEが強く影響することを示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
敗血症性心筋障害の成因について、好中球が減少しているG-CSFKOマウスを用いて敗血症性心筋障害を抑制することが証明できた。さらに好中球エラスターゼを使用することにより同様の結果が得られた。以上から好中球から放出される好中球エラスターゼによる血管内皮障害が敗血症性心筋障害を引き起こしている可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
敗血症治療には使用されている薬剤が敗血症性心機能障害にも効果があるのかどうかを確認する。薬剤はNE阻害薬、トロンボモジュリン製剤、ヒドロコルチゾン、ATIII製剤を使用する。また、血管内皮障害治療に使用する薬剤の選定・治療効果の確認を行う。 血管内皮障害部位に効果的に薬物を送達するCARペプチドには、治療薬剤をCo-injectionするだけでエンドサイトーシスによりCARと同時に薬剤も細胞内に取り込まれるという特徴がある。上記の治療戦略により選択した薬剤がCARとともに取り込まれるのか?また、細胞内で効果を発現するのかといった確認作業を行う。
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Research Products
(5 results)