2016 Fiscal Year Annual Research Report
高濃度フッ化物と金属イオンによる根面う蝕抑制と過石灰化の評価
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16H05515
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田上 順次 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50171567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二階堂 徹 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (00251538)
池田 正臣 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (20549927)
半場 秀典 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (90634006)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フッ化ジアンミン銀 / フッ化物 / 根面う蝕 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国は、超高齢社会を迎え、高年者の保有歯数の増加に伴って、歯根面に発生する“根面う蝕”が急増し、臨床において根面う蝕に対する治療が増加している。こうした社会的な背景とともに、最近、高齢者・要介護者の根面う蝕の1次予防としてフッ化ジアンミン銀の歯面塗布による有効性が注目されている。フッ化ジアンミン銀(製品名:サホライド、ビーブランド・メディコーデンタル)は、山賀らにより開発され、う蝕の進行抑制に有効な薬剤であることが知られている。そのう蝕抑制メカニズムについては、不明な点も多く、さらにう蝕病変を黒変させるという審美上の問題が懸念される。今年度は、まずフッ化ジアンミン銀、およびそれと同等の高濃度フッ化物と金属イオン(Zr)を有する各種溶液を試作し、その脱灰象牙質に対する再石灰化効果をTMR法を用いて検討し、さらに脱灰コラーゲンの変性抑制効果についても検討を加えた。その結果、試作材料はそれぞれコントロール群に比べて効果があることがわかったが、フッ化ジアンミン銀は再石灰化促進と脱灰コラーゲンの変性抑制のいずれにおいても高い有効性を示すことがわかった。 一方、サホライド塗布後の象牙質に対する接着性についても検討を加えた。すなわちサホライドとその10倍希釈液であるサホライドRCについて象牙質表面に塗布後、2ステップセルフエッチングシステムであるクリアフィルメガボンド(クラレノリタケデンタル)を用いて接着させ、微小引張接着強さ試験を行った。その結果、サホライド塗布により接着強さは低下したが、サホライドRC塗布では接着強さの低下はないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題に関連する以下の学会発表1題と論文発表1報を行っている。 1.学会発表 エイ コー コー,松井七生子,中元絢子,二階堂徹,田上順次.フッ化ジアンミン銀の塗布が象牙質引張り接着強さに及ぼす影響、第35回日本接着歯学会学術大会、北海道大学学術交流会館、平成28年12月3日. 2.論文発表 Thanatvarakorn O, MD. Islam SMDS, Nakashima S, Sadr A, Nikaido T, Tagami J. Effects of zinc fluoride on inhibiting dentin demineralization and collagen degradation in vitro: A comparison of various topical fluoride agents. Dent Mater J 2016 Oct 1;35(5):769-775.
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Strategy for Future Research Activity |
フッ化ジアンミン銀(SDF)の根面う蝕抑制効果についてはこれまでにもいくつかの研究が行われているが、SDFの最大の欠点は変色である。しかしSDFによる歯質の変色の詳細については詳細な検討が行われていない。今後は測色計を用いて各種条件の違いによるSDFによる歯質の変色について検討を行う。あわせてSDFの変色を抑制する臨床術式についても検討を加える。
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Research Products
(2 results)