2017 Fiscal Year Annual Research Report
欠損補綴はメタボリックシンドロームを改善させるか?-無作為化比較試験による検討-
Project/Area Number |
16H05521
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水口 俊介 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30219688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒ヶ嶺 友梨子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50613692)
金澤 学 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (80431922)
宮崎 泰成 東京医科歯科大学, 学生支援・保健管理機構, 教授 (30396999)
岡安 香 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00723264)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メタボリックシンドローム / 無作為化比較臨床試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,生活習慣病の前段階であるメタボリックシンドローム(MetS)の腹囲条件(腹囲:男性85cm以上,女性90cm以上)に該当し,さらに義歯による欠損補綴または歯周病の治療が必要な者を対象とした無作為化比較臨床試験により,食事療法や運動療法に加えて歯科治療を行う群(介入群)と食事療法や運動療法のみを行う群(コントロール群)を設定し,歯科的介入がMetSの改善に与える効果を明らかにすることを目的としている.各群の詳細は次の通りである. 介入群:3ヶ月間で,歯科医師による義歯の製作,または(外科的手術を行わない)歯周炎の治療と食事・運動指導を受ける.その後,歯科介入と指導終了後1ヶ月後評価と3ヶ月評価を受ける コントロール群:食事・運動指導のみを受け,次の3ヶ月後(指導終了後1ヶ月評価,3ヶ月後評価を経て)に歯科医師による義歯の製作または(外科的手術を行わない)歯周炎の治療を開始する. 食事・運動指導は,TFAS(Total Fitness Analysis System:適切な運動,栄養,休養のバランスという生活リズムやタイミングを考慮したライフマネージメントツールとして本学教養部保健体育学で開発されたwebアプリケーション)を使用し,最初の30分間でweb上でのTFASへの1日分の食事内容,1週間分の運動内容のデータ入力と入力データをもとにした結果通知の確認とフィードバックを行い,次の60分間で講義を含めた食事運動指導を行う.予定症例数は,介入群50症例,コントロール群50症例の合計100症例である.今年度は,100症例の被験者の取り込みを完了させるために引き続きリクルート,取り込み,両群への割付,それぞれの介入,アウトカム調査を行った.現在, リクルート数は85名であり, うち84名についてベースライン評価が終了している. 研究終了者は26名である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は,東京医科歯科大学歯学部附属病院の患者を対象に行うものである.昨年度は患者リクルート活動が難航していたため,今年度はリクルート方法を見直し,本学歯学部附属病院の患者向けのフライヤーの設置や貼付,デジタルサイネージの活用に加えて,本学医学部附属病院の患者向けのフライヤーの設置や,本学に隣接した郵便局内や本学周辺を走行しているバス車内への広告の設置などを行った.そのため,昨年度よりも今年度は本研究への参加患者が増加した.現在の本研究への患者リクルート状況は,リクルート数は82名(ドロップアウト含め90名)となり, うち84名についてベースライン評価が終了し,うち,研究終了者は26名,ドロップアウト数は8名となっている.中間解析(予定としては両群での研究修了者がそれぞれ25名に達した時点で行う)はまだ行っていない状況である.達成度としては予定よりもやや遅れてはいるが,今年度の患者リクルートが進んだため,問題のない範囲内と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は残り10症例の患者リクルート・取り込み,割付,介入,評価に加えて,中間解析,本解析を進めて行く予定である.解析を行うアウトカムは,主要アウトカムである腹囲,副次アウトカムである,収縮期血圧,拡張期血圧,血液検査項目(中性脂肪,HDLコレスレロール,LDLコレステロール,空腹時血糖,HbA1c),体成分(体脂肪率,筋肉量),QOL評価(SF-36),口腔関連QoL(OHIP-14,GOHAI),エネルギー,食品・栄養素摂取量(BDHQ(簡易型自記式食事記録法))として,現病歴,服薬数,教育歴,世帯収入,運動習慣,飲酒習慣,喫煙習慣などで調整後,t検定を用いて両群間の比較を行う.歯科的介入は,義歯による欠損補綴または歯周病の治療と設定しているので,サブグループ解析も行う予定である.義歯関連評価項目として,客観的咀嚼能力評価(色変わりガム(Xylitolガム咀嚼チェックガム,ロッテ)と検査用グミゼリー(UHA味覚糖)),食品摂取可能品目質問票を使用した主観的咀嚼能力評価,歯周病関連項目として,Probing Pocket Depth(歯肉辺縁からポケット底までの距離)を評価しており,これらのアウトカムも解析に使用する予定である.
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